2020年8月21日公開『糸』
2020年8月21日公開『糸』
中島みゆきのヒット曲「糸」と言えば、「縦の糸はあなた、横の糸は私」という2人が織りなす布(物語)を連想する。
本作での繋がりは「2人」には限られていない。糸と比喩される人が何人も存在し、縦の糸が誰で、横の糸が誰なのかという判断は、本作を見る者に任せる形になっているが、想像以上に後味が良い。
劇中では、中島みゆき「ファイト!」が度々出てくる人間ドラマ。主演2人で成立するシンプルなストーリーではない。
番宣でも噂の菅田将暉と小松菜奈は、平成元年生まれの高橋漣と園田葵を演じている。2人の出会いのシーンは、何年過ぎても、その度に心に響く。
本作は、平成から令和まで「短いようで長い」スパンで描かれているところに時間の流れを実感し、終盤で初めて「縦糸と横糸で織りなされた布(物語)」に感動させられる。
葵の前向きである強さと女性らしい引きのシーンを演じた小松菜奈は、少し今までの役柄とは違う分、賞を狙える女優の1人だと感じた。