24時間テレビのロンカプ様、素晴らしかったですね。

羽生さん自身、演じるのが怖かったという五輪プログラムを、見事ノーミスで演じきってくれました。

演技後に語っていましたが、やはりオリンピックでの苦い思い出は、心の傷になっていたのですね。

それはそうでしょう。

あんな不幸なアクシデント、そうそう忘れられるものではありません。

普通なら記憶の底に沈めてしまいたい経験を、あえて取り出して、更に美しく完璧な姿で見せてくれました。

なんと強い人なんでしょう。

あの辛かった経験を、完璧な演技で上書きすることで乗り越えようとするなんて、余程の自信がなければできることではありません。

それでこそ羽生結弦なのだと、心の底から感動しました。

ただ、再演されたプログラムが完璧であればあるほど、もうそこに審判はいないのだという現実が突き付けられます。

競技プログラムである以上、勝つための要素がてんこ盛りに詰まっています。

その要素を完璧にこなしつつ、芸術としても最高レベルで仕上げてきたあの演技を、もう誰も採点できないのです。

もしかして、羽生さんが本当にやりたかったのは、これだったのかも知れません。

誰も採点できない場所で、誰よりも高度なものを見せる。

誰かと競うことが意味をなさないほどの高いステージに、羽生さんは上がってしまったのだと、ハッキリと示す形になりました。

かつて羽生さんが、世界で初めて300点の壁を超えた時、誰もいない孤独な大地に足を踏み入れたような感覚がありました。

今また、羽生さんは、新たな大地に立っています。

そこは誰も届かない孤高の大地です。

プロアスリートとしてのフィギュアスケートという新しい道を、これから切り開いて行くのです。

けれど、まっさらな原野に、まだ道はありません。

羽生さんが歩いた所が、道になるのです。

その第一歩を、あのショーで見せてくれました。

これから羽生さんが、どんな道を行き、どんな新しい世界を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありませんね。

24時間テレビで見せた、新たな世界✨