ふと思い出したこと。


ダンナさまと結婚する前

わたしには
同棲したことのある彼がいた。

その彼とわたしは
彼がカスタムした
オリジナルのペアの単車に乗っていた。

彼と別れてからも
その単車は我が家にあった。


ヤキモチなんて
すでに通り越している…ダンナさま

別れた彼にその単車を
売り付けるという行動に出た。

まるで外道な行為だ。


嫉妬の炎で
自らを燃やし続けているダンナさまに

彼は冷静に応対していた。


いよいよその単車を
彼が友人と二人引き取りに来た日。

ダンナさまは少し離れたところから
その作業の様子を見ていた。


彼が帰ったあと
ダンナさまは怒っていた。

すべてが
ダンナさまの思う通りになったのに
何を怒っているのか
わたしには解らなかった。


そんなわたしに
ダンナさまは言った。

「 あいつは本当にお前を…
愛していたんだな。」

。。。

「 あいつの心を弄んだのは
お前の方だな。」



昨日が誕生日だったダンナさま

ダンナさまは今

執着の愛情から
卒業する時を迎えている。

それはきっと

本来のわたしの姿が
ようやく見えるようになったから

かもしれない。