「人様に迷惑をかけることだけはしないように!」
教育の場面でたびたびこのような言葉を耳にします。実際に日本ではそれが美徳とされているようです。
果たして誰にも迷惑をかけずに生きることは可能でしょうか?
私は不可能だと思います。
仏教の教えにこのような言葉があります。
「周囲の人に迷惑をかけ支えられて育ったのだから、感謝し恩に報いていかなければならない」
人は他人に迷惑をかけずに生きることは難しいのだから、自分が他人に迷惑をかける存在であることを自覚することが大切なのだそうです。
そうすれば自分の迷惑を申し訳なく思う心だけでなく、他人の迷惑を許す心が自然と芽生えてくるということです。
確かに…自分が人に迷惑をかけることを嫌うあまり、人に迷惑をかけられることに対して寛容になれず、思いやりの心を失っている人が多いように思います。
親や教師からそのように言われてきた子供たちは人に迷惑をかけないようにと気にするあまり自分の感情を抑え、人を頼れず、必要以上に消極的になってしまうと思いませんか?
悩みがあっても打ち明けられず、誰にも頼れなくて息苦しい…
人に迷惑をかけるなという言葉によっていつの間にか追い詰められてしまうのです。
自殺者が後を絶たないのは、日本の教育の根底にこのような美徳が蔓延しているせいではないでしょうか。
私の敬愛する師匠はご自身の息子さんがまだ小さい頃にこう言ったそうです。
「あなたが正しいと思うことをやりなさい。
もし他人に迷惑をかけてしまったときは、私が土下座でも何でもして謝るから。
それが親の仕事なんだから、迷惑をかけてもいいのよ。」
師匠の息子さんは立派な社会人になり(しかも超エリート!)、お母様のようにそれはしっかりとした女性とご結婚されました
そのくらい子供を信じてあげられる母親になりたいものですね
あかね