サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)/タチアナ・ド ロネ
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うわぁ、私ったら、今月一度も本レビュー書いてないじゃないの!!!


ということで、たまにはアップしようと思います。

最近読む本はですね、専門書率が高いのもあるけど

読書メーターにかける文字量で充分、ってものが多くて。


余談ですが。本日も会社説明会に行ってまいりましたーー。入っていない日が今月2日くらいしかないんだけどね。


受付で履歴書を渡して(説明会受ける前から志望動機って書けないよね・・・毎回苦戦する)、会場に入ってみるとびっくり。

12席しか準備されてない!!!


・・・・・・しかも結局、私含めて4人しか来ないという。

みんなさぼりすぎでしょ。


4人でグループワークをしました(苦笑)



とまぁ雑談は置いておいて!


本日ご紹介させていただくのは、先日公開した、『サラの鍵』の原作です。


著者はパリ郊外生まれで、イギリスとフランス、ロシアの血を引くそう。

パリとボストン育ち。

で、今回この小説は英語で書かれている。


こういう新しい作家は、ウィキペディアにも載ってないから

どこの国籍なのか分からないんですよねーーー。ブログにアップするときのジャンルに困るの。


で、そういう場合どうするかっていうと、英語版ウィキに飛ぶと分かります☆

著者はフランス国籍だって。というわけで、一応フランス文学・・・・にしておきますね。英語で書かれているけど。



著者の経歴で目を引くのが イースト・アングリア大学出身だということ。

私の好きな作家、ここ出身な人が多いのですよーーー。

カズオ・イシグロもここの院出てるしね。イアン・マキューアンもそうだったはず。


『サラの鍵』は二人の女性の物語。


ユダヤ人の少女 サラ。

ある日突然、夜中にフランス警察がサラの家にやってきて、どこかへ連れ出そうとする。

自分の小さな弟ミシェルを守ろうとしたサラは、納戸に弟を隠す。

「絶対に戻ってきて、出してあげるからね」と約束して・・・・・



それから60年後。


パリに住むアメリカ人女性ジャーナリストのジュリア。


一見全く関係のない二人が、繋がっていきます。


こういう話の構造は多くあれど、上手いんじゃないかと思いますよー。


全体として、もうね、読みだしたら止まらなくなるスピード感を持っている小説だと思います。

夜遅くまで読んでしまいました。


ただ、文学として良いか、と言われると疑問。


↑のような構成はなかなか上手いんじゃないかとは思うんだけど・・・・・



ユダヤ人の物語だから書けたのだろう、と思えてならないのです。

ユダヤ人迫害という設定に頼りすぎてしまっている印象を受けます。

その設定だけで、ドラマチックになる。


幼くて、まだ何もわからない。

ねぇ、私たち、なんでこんなところにいるの?

なんでユダヤ人というだけで嫌われるの?

だってすぐに帰れるんでしょ???


というような、「何も分からない少女像」がね・・・非常にわざとらしくて、鼻につきました。


かわいそうでしょ!!でしょ!!!


と言いまくっている感じなんですよね。


全然胸に響かないの・・・・・だから、頼り切っていると感じるのです。

『ライフ・イズ・ビューティフル』を見習ってほしいというかね。



ジュリアがね。ちょっと美化されすぎてるしね。

著者と重なり合っている部分があるから、そうなってしまったのでしょう。

そのあたりも一応考えたのか(って上から目線ですね・・・)直接的に話してしまったのは彼女の娘になってしまっているけれど。

いくらなんでも、あまりにも・・・・・・・やりすぎましたよね。ジュリアは。



内容が内容なので、重いかな、と思っていました。

でも、意外と・・・・そんなに重くない。


こういう話は、今みたいに疲れ切っている時に読むのはしんどくて

しばらーーーく積読していたんですが、これはいつでも読めそうな感じですね。




直接手を下したのがナチス、ではなくてフランス警察というところが重要。

臭いものには蓋を、と現実を見ないフランス人たち。

シラク大統領の有名(らしい)な演説で、その悲惨な出来事を知ったという人も多いようです。


著者もそれで知って、この作品を書いたのだとか。

私自身、この作品を読むまで知らなかったから

そういう意味で、とても価値のある小説だと思います。


「小説」で、済ませちゃいけない話ですものね・・・・・