愛憎の王冠 (上) ブーリン家の姉妹2 (集英社文庫)/フィリッパ・グレゴリー
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予告しておりました『ブーリン家の姉妹』の続編でございます・・・・・と書きたいところだけど

歴史的には繋がりはあるものの、「続編」とは言えないかな?という内容です。

ですから、『ブーリン家の姉妹』の映画も原作も読んでなくても、なんら問題はない感じです。

前作はアン・ブーリンとメアリー・ブーリンが主人公でしたが

こちらは、ハンナが主人公。彼女はフィクションです。

ふとしたことから、メアリー女王の道化となったハンナ。

もとの主人であるロバート・ダドリーへの恋心を秘めつつ

それに気付いたのか、メアリーの言動を探らせようとするダドリー。

ハンナの婚約者 ダニエル・カーペンターとの関係も見逃せません。
舞台はエドワード六世がぎりぎり在位しているあたりのイングランド。
実はユダヤ人であるハンナには
命からがら、スペインから逃げてきた、という辛い過去があります。

異端尋問で、ハンナの母は彼女の目の前で火炙りになったという・・・・・。

ハンナがユダヤ人、ということで、物語に深みがいっそう増しているし

メアリー一世やエリザベス一世がどうなったか、ということは・・・・

うん、もう、知っていますしね。

必然的にネタバレになってしまうんですが、ハンナがヒロインで

あまり私の嫌いなありきたり な展開ではなく、最後までハラハラさせてくれるので

かなり良い出来ではないかなーと思います。

ハンナのアイデンティティーについてとかで論文書きたいぞ(笑)

私はもともと、ユダヤ人にはかなり興味がございます。
更にこの時期って、かなり!シェイクスピアと時代が近いので(シェイクスピアはエリザベス1世~ジェイムズ1世在位)このころのユダヤ人、こんなだったのか・・・・
とか、思わず考えさせてしまったり。
イングランド版大奥!!
とか書かれていたけど、ちょっと違うのではないか。

ロバート・ダドリーもちゃーんと実在の人物でございます。

若干?卒論にも関係しちゃう人物です。罪な男です。

ハンナは女王の道化として宮廷に仕えますが、皆様、道化ってふつうに分かるものなのでしょうか?

シェイクスピア劇には道化ってかなり頻繁に登場するのですが

どんな本を読んでも、なかなか道化ってこういうものだ、とか書いてくれていない。え、常識?

かなり長い間意味が分からなかったのですが・・・・

主人を楽しませるのが目的の職業なので、身体的欠陥がある人物がなることが多かったそうです。

無礼なことでも口に出来る、唯一の存在でかなり貴重らしいですね。


個人的な見所は、ブラッディ・メアリーとして有名なメアリー女王が

意外にも、とても慈悲深く描かれているところ。(カクテルにありますよね~。強すぎるから、私まだ飲んだことないのですが。)

熱心なカトリック信者だったため、異端者を次々に処刑し、こう呼ばれるようになりました。

でも、本人は「罪」とは思ってはいなくって

殺したとしても、カトリックを広めなくてはいけない、異端者は死を持って償わねば。抹消しなければ。

単にそう思っている「だけ」。

おそろしい・・・・・。

メアリー1世=血みどろ・・・・・。

というイメージでしたが、実際、異端尋問しだす前ってどうだったんでしょう。

ちなみに、エリザベス1世はかなりの美人で魔性の女として描かれておりました。

エリザベスってあまりにも背が高すぎた、とかいうし「美人」ではなかったと思ったんだけどなぁ。

でも、彼女のエピソードはかなり史実に基づいているようでした。

恐ろしいほど、母親のアン・ブーリンに似ていくのが圧巻です。

かなり面白い1冊でした。

フィリッパ・グレゴリー。新作が出たらずぇったい読みますとも。

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