人間の土地 (新潮文庫)/サン=テグジュペリ

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サン・テグジュペリと言えば、『星の王子さま』。

しかし、他にも名作はあります。

絶対に読んでみたかったのが・・・・この、人間の土地。

私が読んだのは、表紙はコレではなかったですが・・・これ、宮崎駿さんですよ。

かなり『人間の土地』に影響を受けたそうで、解説も書いていらっしゃいます。

ですので、ファンの方は是非一読を(笑)

自伝的小説なのかと思っていたら、随筆集なんだそうです。

「原題 Terre des hommes は、著者が書き残した戯画等を考え合わせると、直訳すれば「人間達の地球」という意味であると思われる。東欧圏では「人びとの惑星」と訳すのが一般的。アメリカ版の題はWind, Sand and Stars となっている。」(by wiki)


ですって。


人間だけの土地、という風にちょっとこの邦題だと聞こえますものね・・・。



サン・テグジュペリは飛行士でした。

その15年間の経験を基に巧みな筆致で語るエッセイで、極限状態での僚友との友情や、人間らしい生き方とは何か、が主題となっています。



奇跡の生還を遂げた、サン・テグジュペリ。

でも、彼はある日地中海上空で行方不明になって、帰って来なかった。


それを考えると・・・・本当に、胸が痛みます。


著者が知らないことを、知っているんだもの。





これは、小説では、ないから。


実体験だからこそ胸に響く言葉です。

痛みつける喉の渇き、それが生々しく描写されていて・・・・。



人間の肉体が、三日飲まずには生きがたいとしても、それはぼくの罪ではない。

ぼくもじつは知らなかった、自分がかほどまで、泉の囚われだとは。

ぼくは、疑わなかった、自分に、こんなにわずかな自治しか許されていないとは。


普通、人は信じている、人間は、思いどおり、まっすぐに突き進めるものだと。

普通、人は信じている、人間は自由なものだと・・・・・。

普通、人は見ずにいる、人間を井戸とつなぐ縄、臍の緒のように、人間を大地の腹につなぐその縄を。


井戸から一歩遠ざかったら、人間は死んでしまう。



水のありがたみと、思わず、つめたーく冷やしたミネラルウォーターを味わいながら読みたくなってしまう、

感慨深い名作です。


思っていたよりかなり詩的なのが驚き。



水よ、そなたには、味も、色も、風味もない、そなたを定義することはできない。

人はただ、そなたを知らずに、そなたを味わう。

そなたは生命に必要なのではない、そなたが生命なのだ。



夜間飛行 (新潮文庫)/サン=テグジュペリ
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こちらの表紙もかなりステキですよね。

いずれは・・・・・読んでみたい。