これは知っている方が多いと思います。

 スティーブン・スピルバーグ監督が映画化をした名作のシンドラーのリストの原作です。私が読んだのは『シンドラーズ・リスト 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人という新潮文庫のものなのですが、文庫なのに約600ページ。重いです。(アフィリエイトにはなくって残念)

 スティーブン・スピルバーグ。ユダヤ系アメリカ人の彼だからこそ作れた映画ではないでしょうか。


 ユダヤ人差別というものは、一体いつから始まったのでしょうか。

 ナチスドイツによるユダヤ人の大虐殺。アウシュビッツ。『アンネの日記』。ヒトラー。知らない、聞いたことの無い、なんて方いないでしょう。

 忘れてはいけない過去です。

 日本人にはなんとなくあまり馴染みの無い気がするし、ユダヤ人を差別なんて今までしてこなかった。でも、日独伊三国同盟なんてもの・・・ありましたよね。



 そもそも、ユダヤ人が何故差別されるようになったのか。(これ、ずっと気になっていて・・・・調べてみたいですね)

 ユダヤ人と言えば、シャイロック。シェイクスピアの『ヴェニスの商人』ですね。シェイクスピアの戯曲の中で最も語りにくいのがこれではないかと思っているのですが・・・シャイロックは極悪非道に描かれているけれど、ユダヤ人シャイロックの悲劇と見る増えているし・・・私はどちらかと言えばそう見てしまいます。シャイロックは金貸し業を営んでいて。これ、とっても卑しい職業だとされていたらしいんです。ユダヤ人には居場所がなくて、職業も限られる。生計を立てるにはそれくらいしかなかった。

 もう、これって完全なる悪循環じゃないですか・・・・。余計、恨まれてしまいますよねしょぼん(でもシェイクスピアがユダヤ人差別を批判していたか、反対していたかと聞かれたらそういうわけでもないみたいです)

 そもそも、17世紀には完全に差別されているんですよね。


 ブッカー賞の受賞作。まだ何も読んだことがないので、とりあえず映画も観たことのあったこちらを選んでみました。

 映画を観ても思ったことですが、本当に淡々と話が進んでいきます。語り手があまり感情移入していないため、より一層悲惨さが際立って・・・・。



 著者は「シンドラーの生き残り」の50人のインタビューに基づいて作った、と言っています。小説という手段を用いただけで、現実に起こったこと。

 でも、主観的ではなく客観的に描いているため主人公がオスカー・シンドラーというわけではありません。ノン・フィクション・ノベルの傑作だと言われています。


 第二次世界大戦下のポーランドが舞台。

 オスカー・シンドラーはドイツ人で、この戦争を元に莫大な財産を築き上げた男。遊び人で女好きで、元ナチス党員

 そんな彼が、どうして今では世界中で名を知られる正義の人になったのか・・・・。


 強制収容所には2種類があり、絶滅収容所(名の通りユダヤ人を絶滅させるための収容所)と強制労働収容所(ユダヤ人の労働力をタダで利用とするもの)があり、オスカー・シンドラーの工場は当然後者に位置していました。

 彼のユダヤ人救済において大きな力となったのは、彼の工場が軍需工場としてポーランド占領のドイツ軍司令部からも特別扱いをされていたことです。


 かの有名な”シンドラーのリスト”により、大勢の虐殺されたユダヤ人の数には到底及ばないにしても1200人ものユダヤ人の命を救った男の真実の物語です。

 映画でもいちばん印象的でしたが、金歯で作った指輪をオスカーに渡すシーンにはぐっときますね・・・。


 何ていうのかな、これは全ての人が読むべきだと思うんです。

読んでいて・・・・号泣するっていう内容じゃありません。そこまで酷いユダヤ人虐殺シーンの描写があるわけじゃない。

 でも、何度も目頭が熱くなって・・・。

 うるっとくる、感動する。そういう感情じゃないんです。

 内容が内容なので、楽しんで読みましょう、面白かった!ってものじゃないですけど、この日常生活がほんっとうに幸せなんだなと心底感じましたね。



 何より、命が大事なのだから。病気で、もう長くは生きられない。そういう状況以外であれば普通は命を脅かすような不安事項はありませんよね。

 あぁ、何をつまらないことで悩んでいたんだろう、って思えます。ちょうどこれを読んでいたとき凄く落ち込んでいたので、そう考えて凄く救われました。

 そういう意味ではとてつもない勇気を与えてくれる小説なのかもしれませんねあげ

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