カテゴリを作っておきながら、本のレビューの時は最近「その他の本」になってしまうことが多いような・・・。ロシアと日本文学をまだ1冊も書いていないので、まずロシア文学をアップしたいと思いますクラッカー

 ロシアの文豪、というと真っ先に思い浮かぶのはトルストイなのですが、今回は1866年に出版されたドストエフスキー『罪と罰』で。

 ロシアの小説って、どうしても名前が馴染めません。何とかスキイとか多すぎて、特にトルストイのものなんて登場人物多すぎて、誰が誰びっくりこれ、誰だっけびっくりとすぐなってしまうので、読むのは確かに一苦労。

 北海道なんてとっても近いのに、ヨーロッパやアメリカの方がずっと「近い」せいか、距離的には近いのにあまり馴染みのないような・・・。偏見かしら。ロシアの慣習も意外と日本に入ってきていない、と言いますかね。

 そして、もしかしたら思いっきり偏見なのかもしれません。ロシアの小説って、色で言えば黒。とっても暗いものが多いような・・・。私ロシアのもので明るいものって読んだことないんですよね汗でも、これが私のツボだったりします。悲劇が嫌いと言う方には向かないかもしれませんが・・・


 チェーホフはまだ読んだことがないので、近々挑戦する予定ですうえ

 ドストエフスキーは好きだけど、今(何故か)よく売れている『カラマーゾフの兄弟』はどーしても!!読めません。何度挑戦しても最後までたどりつけません。あらすじは知ってるけど、あまり読もうという気にもなれない。どうも相性の宜しくないようですね。

 『貧しき人々』『白痴』は是非読んでおきたい。

 


 さてさて、そろそろ本題に。

 『罪と罰』を初めて読んだのは中学生の時。何を考えたのか、夏休みの宿題の読書感想文でこれを選んで書きました。

 『罪と罰』って、名前からして堅苦しそう。難しそう。確かに哲学的な小説ですが、尻込みしないで下さい^^これ、意外にもそんなことないんですにひひ

 

 主人公はラスコーリニコフという頭脳明晰だが貧困に苦しむ若い男。タイトルの通り、彼は罪を犯し、罰を受けます。簡単に言うと自分は、特別な人間だ、と思いだから人を殺してもいいと思ったのです。


 彼は金貸し業を営む老婆を殺します。そこまでは計画通りでしたが、ちょうどそこにその妹が帰ってきて、思わず彼女も殺してしまいます。そして罪の意識が芽生え、彼は良心の呵責に苦しむのです。

 その後に出会うソーニャという若い娼婦。彼女の生活も苦しいものでした。彼女との出会いが彼を変えます。恋に落ちた、というわけではなく、彼女はとても心の清らかな美しい女性。彼女の生き方に心を打たれて、自首を決意します。


 犯罪心理学などを学んだ後に読むとまた違ったように考えられて、面白そうですね。


 「罪」は間違いなく、この殺人。では、「罰」は?

法で裁かれるのも罰ですが、悪事をすると後悔し、反省するのが通常の人間というもの。内心の葛藤が一番辛いと思うんです。しかも、こんな非道徳的な動機で人を殺してしまった。更に1人だけ殺すつもりだったのに、全く罪のない人までもう1人殺してしまった。

言うまでも無く、限りなく危険な思想です。

伝説の英雄のような人類の指導者となるべき選ばれし者は、より大局的な正義を為すためならば、既存の法や規範をも超越する資格を持つ」

「一つの微細な罪悪は百の善行に償われる」

「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」う大罪を。

という理論の上で彼は犯罪を犯します。しかも殺人とい


 ちょっと計画が狂い2人を殺してしまったラスコーリニコフ。

こんな発想をする彼であったら、まぁ、いいか、で終わると思ったら・・・違う。想像を絶する苦悩が待ち受けていました。


 アルベール・カミュ『異邦人』で人を殺した理由は「太陽がまぶしかったから。」という有名な1文がありますが、その紹介文で

人間らしく生きるということは、本当は非常識なことかもしれない。

というものがあり、心を打たれたことがあります。

 そうなんですよね、社会的な制約と言うものは必ずあるわけで、それがないと人はとても生活できない。頭脳っていうのは、考え、感情を抑えるためにあるものだと思うから。

 人間になりきれなかったら罪の意識は芽生えないのでしょうが、やはりラスコーリニコフも人間だったのだな、と・・・。


 ソーニャとラスコーリニコフが対照的に描かれていて、面白いです音譜

ソーニャは確かに社会的な地位は彼女の職業からみてないに等しいだろうし、肉体面でも決して綺麗ではない。でも、心は失っていない。ラスコーリニコフのような考え方は決してしない。もともと、ソーニャは家族のために娼婦という道を選び必死に働いてきました。身体は汚れても、心はきれい。



 この当時はドストエフスキー自身が莫大な借金の返済に追われていたそうで、ラスコーリニコフと重ねているんでしょうね。貧困に喘ぐラスコーリニコフ、ソーニャ、ドストエフスキー。ロシア(当時はソ連ですが)政府への批判が込められていたりするのでしょうか。


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