「18年前のあなたの選挙で走り回った時には、医者から大腸がんで余命二年と言われていました。あのとき頑張ったこともあって、すっかり今は治って元気になりました」―姫路駅前で県議会議員の応援演説をしたあと、集まってきていただいた方々と握手をしていた際に、一人の老婦人からこういわれた。
瞬時わが耳を疑ったが、勿論嘘偽りなど言われるはずはない。「そうですか、それは本当によかった」―しばし手を握り合い、喜びの昔話をした。また、その直後にやはり私が初めて立候補して挨拶周りをしていたころにお世話になった婦人にも出会った。実に10年ぶり。名前を聴いただけで、家の場所、家族構成、亡くなったご主人のこと、さらには私の前任の先輩の選挙で三羽烏といわれた人たちのことなど溢れるかのように思い出されてきた。「よく覚えておいてくださって」と言われるので、「それは忘れはしませんよ」と。こういう出会いは本当にうれしい。選挙で皆さんに本当にお世話になるものの、こうした話をできることが私たち候補者にとっての醍醐味の一つかもしれない。
また、神戸市内で県議と市議の両新人候補と一緒に街頭に立ったときのこと。姫路での出会いを演説の始まる前の僅かなひとときに二人に話した。いろいろと選挙で慣れないことが続いて大変かも知れないけど、応援してくださる方々一人一人には選挙を通じてさまざまなドラマが生まれるんだよ。と。それを信じてみんなに喜んでいただけるように頑張ろう、と。
同時にいつも読む新聞のコラムに「頑張れっていうのは顔晴れ(がんばれ)で、笑顔でやることだって書いてあった」と言った。直ちに二人の顔がぱっと明るくにこやかに晴れ渡った。