前原外相が地元の在日韓国人から五万ずつ五年に渡って政治献金を貰っていたことの責任をとって辞任した。参院予算委で追求されてから僅か三日後という素早さだ。“次の次”を狙ったうえでの潔さだなどといった見方が専らだが、それなら一度議員をやめて出直しをされるのがふさわしいのではないか。
一定の金額を連続して貰っていたこと、しかもそれを外部から指摘されるまで気付かなかったことなど、その杜撰さには呆れるばかり。一党の代表を務め、外相までやる政治家が、外国人からお金を貰ってはならないということを知らなかったはずはない。いや、ひょっとしたら本当は知らなかったのかもしれないなどと勘ぐりたくなるほど、今の民主党は何でも有りの不祥事や軽薄な発言続きではあるが…。
前原氏は、かつて「偽メール事件」の際に、党代表を務めており、その責任をとって辞任した。安易に一議員の思い込み的情報を鵜呑みにして、傷口を拡大していったものであった。情報の取り扱いが杜撰極まりないケースだとして、元外務省の佐藤優氏や元NHKの手嶋龍一氏から、「情報を駆使しなければならぬ外交や安全保障の分野の仕事をする資格がない」とまで辛辣な批判を受けていたことが思い出される。
次の日本のリーダーの人気ナンバーワンだっただけに、意外な感じで受けとめるむきがあるが、かなりわきが甘い人だとの指摘が改めてなされているのは当然かもしれない。
尖閣諸島の問題をめぐる対中外交でも、ロシアの大統領の国後島訪問についても、なにかと物議をかもした発言が多かった。これからの追及の矛先をあれこれ考えていた矢先だけに拍子抜けが否めぬ。前の岡田外相も短い間の大臣だったし、今回も僅か半年に過ぎない。これでは外国にますます侮られるばかりだ。