アカイトコーヒー の前の細い路地は町民の生活道路として長く使われてきた。

それは今も変わらない。

 

港へと向かう人達。

生協へと通う人々。

 

観光客がこの道を歩くことはほとんどなかった。

間違えて迷い込んでしまうことをのぞいては。

 

1年前。

こんな場所ではわかり難い。

こんなところに誰がわざわざ来てくれるん?

 

と、散々言われ続けてきた。

 

あの頃よりは少しだけ観光客の皆さんが通ってくれるようにもなってきた。

 

アカイトコーヒーができるまでとできてからで変わったことのひとつが、この路地の人通りだ。

 

そしてその変化は観光客の皆さんだけではなくて地元の人たちもそうだ。

アカイトコーヒーに来るために、この路地をわざわざ入ってきてくれる人が増えてきた。

 

その路地とアカイトコーヒーの厨房との間に少しだけ開いている壊れかけの窓がある。

 

そこからみんなが声をかけてくれるようになった。

「おはよう!」や「こんにちは!」に「お疲れさま」

「いってきます」に「バイバイ」や時々「空いてる?」

 

そのほとんどは、皆さんの方からこちらに声をかけてくれるということ。

それが僕はとても嬉しい。

 

昨日一人の女性が直島から旅立っていった。

その彼女ともこの窓越しに何度か会話をした。

そしてお別れの最後もこの窓越しだった。それをカメラにおさめてくれたのも彼女。

 


これからも顔が見える皆さんとこの窓越しにたくさんの会話を繰り返していくことも僕の楽しみのひとつ。

 

 


※ この窓はここまでしか開きません。決して無精して開けないのではありません。ご了承ください。