ぼくのはねは、おにいちゃんたちのよりもちいさいし、きれいではありません。
おにいちゃんたちは、「おまえのはねはみにくいな」といってわらいました。ぼくは、はねをひらくのがいやになりました。
それからは、かぞくといるときも、ともだちにあうときも、ひとりでいるときも、ずっとはねをとじていました。
みにくいといわれたくなかったし、みにくいものをみたくなかったのです。
あるひ、ともだちがあつまって、はねのみせあいっこをしていました。ぼくは、けなされるのがいやで、みせませんでした。
すると、あんまりなかのよくないとともだちが、みんなのまえでぼくにいいました。
「おまえ、はねをひらかないな。そんなにちいさくてみにくいのか?」
ぼくはすぐにはしってにげました。とてもかなしくなって、なみだがでそうになったからです。
そのひは、もりのおくにいって、よるおそくまでひとりでなきました。
つぎのひ、またともだちのところにいきました。きのうのともだちとめがあうと、そのともだちはぼくのことを「ぶさいく」とよびました。みんなもにやにやしながらぼくをみています。
すると、いつもしずかなおんなのこが、「わるぐちをいうひとのほうがこころがみにくいのよ!」とおおきなこえでいいました。
そしてかのじょは、ぼくに「いこう!」といってはしりだしたので、ぼくもいっしょにはしりました。
しばらくはしると、ふたりともつかれてきました。ちかくにのはらがあったので、そこですこしきゅうけいすることにしました。
「どうしてはねをひらかないの?」と、かのじょはききました。
「ぼくはじぶんのはねがきらいなんだ。ちいさいときにおにいちゃんにみにくいっていわれたから、それからずっとひらいてないのさ。」と、ぼくはこたえました。
「ふーん」といってすこしだまったかのじょは、なんだかとてもきれいでした。
それからしばらく、すきなたべものや、きのうみたゆめについてはなして、かえりました。
つぎのひはともだちのところにはいかないで、きのうののはらにいきました。
そのちょっとあとに、かのじょもきました。
まちあわせなんてしていないのにあえたので、ぼくはとてもうれしくなりました。
いろんなはなしをしていると、あっというまにそらがオレンジいろになってしまいました。
「そろそらかえる?」とぼくがいうと、かのじょはとつぜん、ちいさいこえでいいました。
「わたしね、はねがどんなにみにくくても、ちいさくても、あなたはすごくすてきだとおもう」
ぼくはてれてしまいました。
「だから、すこしみせて。あなたのこともっとしりたい」とかのじょがいったので、きらわないでね、といって、はねをひろげました。
「きれい」
そういって、かのじょは、なきました。
ぼくもうれしくてなきました。
赤い少女