ロスジェネ世代と不安定雇用 ― データで見る「構造的問題」
感情論ではなく、数字で見てみましょう。
日本の雇用が不安定化したことは、統計でもはっきり確認できます。
■ 非正規雇用はどれだけ増えたか
総務省「労働力調査」によると、
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1990年:非正規雇用比率 約20%
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2005年:非正規雇用比率 約33%
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2023年:非正規雇用比率 約37%
1990年代後半から急増しています。
この時期は、就職氷河期とほぼ重なります。
政策転換の象徴的存在が
小泉純一郎政権期の規制緩和であり、
その中枢にいたのが
竹中平蔵です。
特に2004年の労働者派遣法改正で製造業派遣が解禁され、
非正規雇用は一気に拡大しました。
■ 賃金はどうなったか
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、
日本の実質賃金は1997年をピークに長期停滞
2020年代に入っても、1990年代後半の水準を下回る年がある
一方で、大企業の内部留保は:
1990年代:約200兆円
2020年代:500兆円超
企業は利益を積み上げましたが、
家計に十分還元されていない構造が見えます。
■ ロスジェネ世代の所得状況
就職氷河期世代(現在40代後半~50代前半)では、
非正規比率が他世代より高い
年収300万円未満の割合が高い
未婚率も高い
内閣府や厚労省の分析でも、
「初期雇用の不安定さが長期的所得に影響する」ことが示されています。
つまり、最初のつまずきが、その後の人生全体に影響する構造です。
■ 精神疾患と生活困窮
厚労省データでは、
精神疾患の患者数は2000年代以降大幅に増加。
生活保護受給世帯も2000年代に急増しました。
もちろん因果関係を単純化はできません。
しかし、
雇用の不安定化
長期低所得
将来不安
が心理的ストレスを増大させることは、多くの研究が示しています。
■ GDPとの関係
日本の名目GDPは、
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1990年代以降ほぼ横ばい
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アメリカは同期間に約3倍
最大の違いは「内需の弱さ」です。
雇用が不安定で所得が伸びなければ、
消費は伸びません。
消費が伸びなければ、企業は投資しません。
結果として、経済全体が停滞します。
■ AI時代が突きつける現実
育成されず、経験を積めなかった世代に、
AI時代が追い打ちをかけています。
専門性を深める機会が乏しかった人ほど、
代替されやすい立場に置かれます。
これは能力の問題というより、
人的投資不足の問題です。
■ 積極財政という選択肢
もし雇用の不安定化が政策転換の結果なら、
その歪みを是正するのも政策です。
積極財政とは:
政府が支出を拡大
家計に直接所得を補填
再教育や雇用創出に投資
単なる「バラマキ」ではなく、
人的資本への再投資です。
■ 結論
ロスジェネ世代の困難は、
個人の努力不足ではなく
雇用環境の崩壊という構造問題
雇用制度を変えたのが政策なら、
その帰結に責任を持つのも政策であるべきです。
人を使い捨てる経済から、
人を育て直す経済へ。
データは、感情ではなく構造を示しています。