この山の家は、私のプライベートな空間、島倉さんの曲を誰に気兼ねすることなく聞けるように、父が亡くなって空き家になったので、島倉さんに関係するものはみなここへ移した。最初は近在の人がものめずらしさに多く来たが、皆が皆島倉さんのファンというわけでもないので、島倉さんが亡くなって間もない頃の私の心は、来た人の何気ない会話にも傷つくこともあり、しばらく断ったりしたこともあった。昨年11月、島倉さんの7回忌に参加させていただき、自分なりに心の整理がついた気がする。今は多くの人に島倉さんの歌を聴いてもらいたいと思っている。歌手島倉千代子が紡いだ愛の歌、その殆どがここにある。デビユーした当時たて続けにヒット曲が出ているが、この頃は1年に20曲から30曲もの曲がリリースされ、ヒットしたのはそのほんの一部であり、埋もれてしまった曲も多い。ヒットした曲、ヒットしなかった曲、これらの曲を聴いてもらうために、場所を借りてレコードコンサートをしたいとも考えたが、そうすると費用がかかり無料というわけにいかなくなってしまう。無料でないと著作権料の問題も出てくるので継続が難しくなる。いろいろ考えたあげく、ここでレコードコンサートをすることにした。そのためにはここの名前が必要だが、その名前を「島倉千代子記念館」にすることにした。どこからか顰蹙を買いそうだが、こんな山の中の小っちゃな記念館だが、今これが私のできる精一杯なので、ここに皆さんが来てくれたらうれしい。いつからということになるが、3月30日にしたい。3月30日は島倉さんの誕生日、島倉さんが亡くなったことはとても悲しいし、いたたまれない気持ちになることがある。でもここでは大歌手島倉千代子が誕生した日を祝い、75年の生涯を偲び、その歌声に耳を傾けたいと思っている。3月30日に「島倉千代子生誕祭」と「島倉千代子記念館のオープン」一人ではさみしいから誰かに来てもらいたい。