ECM1784
随分と以前にチャールス・ロイドのことがそれほど好きでない、と書いたと思う。
どうも吹きぶりにふにゃふにゃしているところがある。誇大妄想気味なところがあったり、時々アメリカン趣味を表したり、地がECMと相性合わなさそうなところを何とかECMの枠に押し込めているようなところがなきにしもあらず。ECMファンとしてもモヤモヤするし、最近のBN移籍後の水を得た魚ぶりを見ていると本人的にもどうだったのかと(そういえばECMにはfish out of waterなんてアルバムもあったw)。
でもロイドのECM盤って日本人に訴えるものがあるのか、国内盤がよく出ていてそれがまた中古市場によく出回るんですよね。中古によく出るってのは基本的によく売れた、ポジティブな現象と理解しています。
ポツポツ拾っていると結構な量を聴いてきて、結構気に入ったアルバムもあったりします。まぁなんだかんだ言ってもアイヒャーはロイドの持っている美質の一面をうまく抽出することに成功しているんですよね。全面ではなかったにしても。
このアルバムは先に発売されたThe Water is Wideというアルバムのアウトテイク集みたいな感じで、少し遅れて発表された作品です。ジャケットが完全にポジとネガで使い回しという。わかりやすいw。
ギターにアバンクロンビーの入ったクインテット編成。ピアノにブラッド・メルドーが参加していて、ECMに初見参ということで大いに話題になったと記憶しています。自分も発売当時すぐに買いました。
が、この黒い方、私は大嫌いだったんですよ。葬式かよ、と。メンバーの個性が完全に死んでる気がしたんです。アイヒャーの個性に潰されちゃったかな、と。
白い方はさらにその落穂ということで、これまで見向きもしなかったんですが、20年もの時を経て500円で売られていたのを見て手にしたんです(苦笑)。この値段なら聞いてやっても良いかと(何様)。
ダガシカシダガシカシ。これが無茶苦茶良いじゃないですか!
黒い方は他の人の曲が多かったのに対し、白い方の本作は全曲ロイド作曲。遠慮した雰囲気は皆無で全員がハメは外してないんだけど、とても良い演奏をしていると思います。葬式的なとこはないですね。何ともジャズ的。ケミストリーがちゃんと産まれていますね。本当に良いセッションの雰囲気がある。個人的に好きと言えないロイドも1/5のメンバーとしてはとても良い感じです。黒い方では遠慮の塊みたいだったメルドーもキラキラしたバッキングを効かせているし、空気みたいだったアバクロが全体のトーンを支配している感じがします。
アイヒャーからしたら黒い方がいいアルバムなんですよね。いつぞやのリッチー・バイラークのセッションをボツにした時と同じ価値観。別にバイラークのことは好きじゃないし、ECMにアート・ブレイキーはいらん、というのにも同意ですが、価値観の方向性としてです。
ほんと、アイヒャーって功罪あるんですよね。特にアメリカのジャズマンの作品ではそこんとこが顕著です。意識して付き合った方がいい気がしますね。
本当、ここまで良いように裏切られた作品は自分のジャズ視聴史の中でも珍しい部類です。傑作。