このままだと紹介文の「乙女ゲーム空間満載」看板に偽りありになるほど、某夫婦が出張りすぎている現状(苦笑)。


今度からひとつのお題に基づいて、賢者×アリシア話を書いていく予定です。賢者同士の話自体は繋がっていませんので、その時はその相手が攻略対象だと思ってもらえれば。


話の書き方は、ヒロイン視点か、会話のみか、賢者視点かのいずれかになるかと。まあ、私が一番書き易い書き方になると思います。統一感ナシ(苦笑)。


唯一共通のお題は 「気になる」 です。


じゃ、さっそくのトップバッターは実質賢者筆頭のあの方にやってもらいましょう。




***




「気になる」  プラトンVer.



「気になる」プラトンVer.




「それは口当たりが良くて飲みやすいですね」

「そうなんです。だからついつい飲みすぎちゃって……」


聞くつもりない会話が私の耳に勝手に入ってくる。


会話すること自体は別に構わない。

講義中の私語なら厳禁だが、今は休憩中。

どんな内容の話でも好きにやってくれて構わない。

よく人に「厳しい」だの「頭が固い」だの言われている私でも、休憩中の会話まで規制するつもりはない。


会話の主は哲人王候補のひとりのアリシアと、先だって私付きの世話人になったヒッポタレス。

つい先ほどまで補講(他の二人よりアリシアは少し遅れをとっている。最初に比べればずいぶんその差も縮んできた)をしていたのだが、休憩を見計らって私の研究室に世話人がお茶を持ってきた。

そこから今日のお茶の種類がどうだの、味がああだのという……いわゆる他愛もない世間話の部類に入るような会話がなされているわけだ。

なので当然、そこには知的好奇心を満たすものも哲学的探求を追求するものも存在しない。

聞いても詮無いものばかり。


自分でも充分にそれは分かっている。

分かっている……はずなのだ。

それだというのに、私の耳と意識は手前の書物には一向に向かず、その会話に向けてしまう。

ただただ規則的にページを捲り、目だけは書物の字を追ってはいたが、当然理解して読んではいない。


なぜ会話に意識を向けてしまうのだろう。

自分でも納得できる理由が見つからない。

これが「意志と結果どちらが大切か」といった行為倫理を問う話題であったら、間違いなく拝聴に価値のあるものだと認めて聞き入っているのだろうが、この会話はそのような種類のものではない。


それに、アリシアとヒッポタレスの会話は以前から何度も行われてきた、いわば見慣れた光景。

前は全く耳に素通り状態で、二人が会話に花を咲かせている間に、私は研究書などを読んでいた。

それだというのに、いつのころから書物よりも会話の方に意識が向かうようになっていった。


「へぇ~、そうなんですか!それは知らなかったです」

「ええ、そうなんですよ。それよりアリシア様、前から言わせていただいておりますが、世話人であるわたくしにそのような言葉遣いは無用です。どうぞ普通にお話ください」

「え!?ええ、わかってはいるんですけど……その、なかなか慣れなくて」

「慣れの問題ではありません。哲人王候補のひとりであるアリシア様が一介の世話人であるわたくしにそのような言葉遣いをすることはあってはなりません」


会話の流れが思わぬ方向に行き出したので目線ををそちらへ向けると、真剣な顔つきのヒッポタレスと、少し困惑気味のアリシアの姿が目に入った。


確かに、ヒッポタレスの言は正しい。

秩序を考えれば、目上の者が目下の者を敬うような行為や言葉遣いはあってはならないことだ。


「……それは、そうかもしれません、けど。でも、ヒッポタレスさんは私よりも年上で、年輩の方をそう簡単にタメ口で呼ぶことなんて、できません」


年長者を敬う。

その精神は間違ってはいない。

だが、この少女の考え方は、異なった階層でも関係ない。


彼女にとって年上は、年上。

そこには何の格差も存在していない。


尊い、と思う。

その考え方は、純然たる階級社会であるアテナイにおいて、そう易々と持てる考え方ではない。


「……アリシア様」


今度はヒッポタレスが困惑していた。

当然だろう、そのような考え方、今まで触れたこともないはずだ。

何の予備的知識もなく、いきなりそのような考え方に触れたら困惑するか、真意が全くわからず首を傾げるかのどちらかだろう。


……かつての私のように。


「アリシア」

「は、はい!プラトン様」

「あまりヒッポタレスを困らせるな。ヒッポタレスには世話人の立場というものがある。候補生のお前がそういう態度だと、その立場がなくなる」

「……は、はい」


その表情だと、私の言葉の半分も理解してはいないな。

この少女は、感情が表情に出やすいので、心情が読み取り易い。


「その、ヒッポタレスさん。まだちょっとぎこちないとは思いま……思うけど、タメ口で話せるように頑張りま、じゃなかった、頑張るね。……これで、いいですか?プラトン様」

「あまりよくないな。かなりぎこちなく聞こえる」

「そ、それはっ、慣れの問題です!慣れればスムーズになりますよっ」

「あと、名前のさん付けも不要。ヒッポタレスと呼ぶことだ」

「え!?そ、それはその、タメ口に慣れてから追々……」

「追々だと?お前の追々はいつのことになるのか分からないだろう。その証拠にこの間の定理の問題で――」


「プラトン様」


ヒッポタレスはこみ上げそうな笑いこらえるような表情で、始まりそうになった私の説教を止めるように名を呼んだ。


「ずいぶと長居してしまい、申し訳ございません。わたくしはこれにて失礼させていだただきます」

「ああ」

「アリシア様」

「は、はい?」

「プラトン様のおっしゃるように、まだぎこちないご様子ですが、わたくしにはそのような応対でお願いいたします」

「はい!頑張りますっ」


元気に答えるアリシアに笑顔で応じたヒッポタレスは、すっと私に近づき。


「先ほどは自身の身のほどを弁えず、失礼いたしました」

「何の話だ?」

「先ほどわたくしとアリシア様とのお話で、プラトン様のお気に障ったのかと思いまして。随分と気もそぞろのご様子でしたから」


……此奴め、アリシアと話している途中で、しっかりと私の様子も見ていたな。

どんな時でも主人の様子を見逃さない、世話人の鏡といえる行動だが、その評価は時と場合による。

内心の動揺をいつもの無表情で隠して、応対に応じる。


「………べ、別に気になどしていない。お前の考え過ぎだ」

「そうですか。わたくしの勘違いですね、失礼いたしました」


ヒッポタレスはあっさりと自分の意見をひっこめた……わけではない。

それは言葉尻だけであって、その何やら含みのある笑顔を見れば一目瞭然。


「……ヒッポタレス、お前まだ仕事があるのだろう。持ち場に戻れ」


苦し紛れに、そう言ってみれば、「お心使い痛み入ります。それでは本当に失礼いたします、プラトン様」とさらりと言い残して、奴は私の研究室を退出していった。


……何だ、この疲労感は。


休憩というのは、身体や精神を休める時間だというのに、私に襲ったのは軽い疲労感だった。



(終)




***



というわけで、プラトン×アリシア小話でしたー。

(て、言うかこれ、プラトン→アリシアじゃねぇの?というツッコミはなしの方向で)


予定していたものよりずいぶん甘くない話になってしまいました。

そしてなぜだか随分と出張った世話人・ヒッポタレスくん。


プラトン先生はいままでずっと研究一筋だったので、にぶにぶです。

自分がなぜそうなのか気づいてません(この段階では)し、気になる対象も会話だと思ってます。

それがどう変化するのか、はまた別の話で。


【注意書き】


・タイトルで御察しの通り、「死にネタ」です。

・本当に暗い話です。暗いMAXです。

・それにプラスして流血表現ありです。ありありです。


以上がダメな人は読まない方がいいです。回れ右です。

以上を覚悟して、読んでいただける奇特な方がらっしゃったらそのまま下へ進んで下さい。

(隠そうと思ったのですが、やり方がいまいちわからないのでこんな方法になってしまいました)







































本当にいいですね?












































それでは、どうぞ。





最期の想い1





今まで生きてきた中でで、「死にたい」など、ただ一度も思ったことなどない。

元来健康な性質なので、積極的に「生きたい」と思っていたわけでもないが、無意識で生を選択していたのは間違いない。

―――――――――だから、今この時も。

肉を絶つ感触。

血飛沫が、皮膚に伝わる感触。

これで何人目か、数えることもない。

そんな余裕があったら、一太刀でも多く剣をふるう。

ほら、また向かってきた。

荒いままの息を整えることもなく、再び剣を構え直す。

多勢に無勢。

最初から、勝敗など決まっていた。

だからといって、簡単に屈する気など毛頭なかった。

一対一の状況に持ちこむように、逃げる振りをして家の通路まで誘導した。

後ろは、壁。

前は、細い通路。

刺客たちは、一人ずつ来ざるおえない。

わかっている。

限界は近い。

自分がどんなに武芸に秀でていたって、しょせんは女。

多数の武装した男どもをひとりで蹴散らすことなど、できはしない。

あと頑張っても一人が限界、というところだろう。

ふっ、と失笑が漏れる。

こんな時でも、頭のどこかでは冷静に判断を下している。

父が嘆くはずだ、「どうしてこの娘は男ではなかったか。もし男だったら優秀な軍人となっていただろうに」と。

―――――――――しまった。

今までの戦いですっかり血に濡れた石畳に、足をとられた。

相手にとって、それは充分すぎるほどの、隙。

間髪なく、剣は伸びる。

感じた事もない激痛。

身体が、もう全く自由にならない。

そのまま、血に塗れた床に倒れた。

遠くなっていく、靴音。

任務は完了したのだ、用はないのだろう。

自分と一緒に残されたもう動かぬ刺客たちは、予定通り「押しこみ強盗」の役をふられるのだろう。

そして、もうすぐ動かなくなる自分は「強盗に押しこまれた、哀れな妻」役を。

自分はもう逝く。

これは仕方のないこと。

だが。

彼がすぐにこっちの方へ来ることは、許さない。

彼にはまだやるべきことがある、やらなければならないことがある。

元賢者としての落とし前をきっちりつけてくるまでは、こっちへなど来させてやるものか。

―――――――――充分、守れたのだろうか。

意識まで動かなくなる前に、自問自答する。

自分は、ただここを守りたかった。

人の妻として、夫の帰ってくる「家」を守りたかった。

だって、「家」を守るのは「妻」の役目だから。



最期の想い2
―――――――――守ったよ、充分すぎるほど、君は。


声が、聞こえた。

聞こえるはずのない、声が。



最期の想い3





幻聴でも、幻覚でも、いい。

あなたにそう言ってもらえて、よかった。



最期の想い4
「……あり、がとう……」

ありがとう。

ありがとう。

あり―――




(了)



クサンティッペ(Xanthippe



・ソクラテスの妻(故人)。


・軍人の家系の生まれ。同じく軍人階級のクセノフォンの一族とは昔からのなじみ。クセノフォンとクサンティッペは兄と妹のような関係。


・家系のせいなのかはたまた本人の元来のものなのか、大変勝気な性質へと育った。そのため嫁のもらい手があるのかと周りから心配されていたが(クセノフォン含め)、クセノフォンを通じて知り合ったソクラテスとあっさり結婚。周囲を驚かせた。


・結婚後はアカデメイア近くの住まいに住んでいた。ソクラテスは普段アカデメイアで過ごしたまに家に帰ってくる程度だったが、彼女が彼の研究室に突撃をかけたりしていた(アカデメイアは学術施設であるため、居住スペースはアカデメイア関係者しか住むことが許されていない)。


・そのため、弟子のプラトンやアリスティッポスとも顔なじみ。プラトンは彼女の迫力にたじたじで、苦手だったようだ。


・ソクラテスがアカデメイアから連行された後でも、変わらずに家を守っていたが、賊(と言われているが詳細は分かっていない)に入り込まれ、殺害される。



**



クサンティッペと言えば、「悪妻」の代名詞(苦笑)ですが、プラトンの対話篇で登場する(といっても『パイドン』くらいですが)彼女を見ていると、とてもとても「悪妻」には見えない。
当時のギリシアの女性から見れば少し気が強い感があるので、「悪妻」のレッテルが貼られたんでしょーね(古代ギリシアの女性は昔の日本みたく「良妻賢母」で「男性を立てる」ような女性が理想だったもよう。公は完全に男中心の社会だったので、しょうがない)。

クサンティッぺの悪妻ぶりが見たいかたは是非、「ギリシア哲学者列伝」の「ソクラテス」の章をどうぞ。夫婦のやりとりの逸話と彼女への酷評が書いてあります(笑)。

ペリクレス(Pericles)



・アテナイの政治家(故人)。


・貴族出身だが、一族は中枢の政治に参与できるほど影響力はなかったが、彼一人でのし上がっていったため、古参の党派からは敬遠されている。


・ペルシア戦争を勝利、デロス同盟を締結に導いた手腕が評価され、アテナイ内の行政の実権を握る。


・本人はいたって真面目で堅物な性格だが、目的のためなら強引な方法も辞さない強さも持つ。


・ソクラテスのアカデメイアからの連行を指示したのは彼であるため、その後のソクラテスの妻クサンティッペへの襲撃・惨殺事件も彼が起こしたのではないか、と裏では囁かれている。


・その後のペロポネソス戦争中、流行病に罹り、還らぬ人となる。強力なリーダーを失ったアテナイは失策を繰り返し、敗北の道へとひた走ることになった。



***



07年初更新です(^^;

今年もが~と更新したりぱったりと更新しなかったりすると思いますが、気が向いたらおつきあい下さい。


ちびチャラ(ヘロドトス)


こんにちは、哲人王候補たち。

今回はアテナイの階級構造について講義をしましょう。


ご存知の通り、アテナイは哲人王を頂点とした、階級社会になっていますね。

大まかに分類すると、2種類の階級に分かれています。


・守護者階級

・生産者階級


この2つです。

その中でさらに細かく階級が分かれています。


守護者階級は「貴族」、「軍人」の階級です。

文字通り国を政治と軍事の面から守護する階級です。

実質的な社会的生産活動を行わない、いわゆる特権階級ですね。


ペロポネソス戦争敗北後は、どちらの階級でも権力闘争による混乱がみられています。

特に、政治面で圧倒的な指導力を見せていた、ペリクレスの病没が両階級の混乱の主な原因だと考えられていますが。

この辺りの話は少々複雑ですので、今度の講義で詳しくお話しましょう。


つぎに、生産者階級ですが、「商人」、「工人」、「農民」の階級です。

国を社会的生産活動によって支えている階級です。

商人は他国と貿易なども行うので、人によっては下級貴族よりお金や力を持っているなんて場合もありますね。

工人はいわゆる手に職を持っている職人たちの総称ですので、分野は様々です。

例えば、アリストテレスの実家は医者ですが、医術の工人ということで工人階級に属していると言えますね。

農民は自分の土地を持った自作農民のことです。

そのため、周囲を防壁に囲まれた王都に住まう者はほとんどなく、農作地かその周辺の街に住んでいる人がほとんどです。


注目すべき点としては、農民階級の減少が著しいことですね。

この現象はペロポネソス戦争が勃発する前から起こっていました。

原因はペリクレスによる商人への優遇措置の政策の反動です。


東の大国、ペルシアに勝利した我々はデロス同盟を締結し、特に勝利に貢献アテナイはその盟主になりました。

つまり、積極的な他国への対外政策をとる必要性が生じたわけです。

対外政策の一環として、商人への規制緩和がとられ、商人の力と財は一気に高くなりました。

そのため、商人に憧れた農民階級の方々が自分の土地を担保もしくは財源にして、商人の真似事をするようになったのです。

中には成功を収めて晴れて商人階級に入る人もいましたが、それはごく少数のこと。

何代も続いている商人たちにかなうはずもなく、土地を失い没落する農民が続出する事態になりました。

没落した農民は、守護者階級や商人の家の家人として、家の手伝いや仕事の足として使役される立場に立たされています。

あなたたちの世話人のリュシスは、親の没落によって捨てられ孤児になったひとりです。

こういった事態は大いに憂慮すべきだと思うのですが、先の戦の事後処理や政治不安などで、対策が後回しになってしまっているのが現状のようですね。


アテナイの階級制度についてはこのような感じでしょうか。

おやおや、だいぶお疲れのようですね。

社会事情なども少し入れてお話したので、内容が難しかったかもしれません。

それについては追々見ていくとして、今日はどういった階級制度があるのか理解していただければ、十分ですよ。


それでは、今日はここまでにしましょう。

質問は私が研究室に居る間はいつでも構いませんので、気軽に来てください。

もちろん、それ以外の目的でも構いませんけど、ね?



(おしまい)



**



最後は無理矢理乙女仕様のセリフをはかせてみた。

乙女ゲーム空間だと言っているだけで、実際全然それらしい話を公開していないので。

そのうち乙女空間満載になってると……いいな(願望)


当たり前ですが、これはフィクションですので、史実ではありません。

史実を取りいれているところもありますが、あくまでも参考にしているだけでこちらに都合よく変換している場合もあります。


何が言いたいのかというと、世界史の勉強の参考には全くならないということです(^^;


「ただいま」




―――――どうして戻ってきた?妾は逢いたくはなかったわ。




「うん。君ならそう言うと思ってたよ。嬉しいな」




―――――妾は嬉しくない!去りゃ!!




「そう言わないで。もう少しだけ、ね。ここに来るのも最初で最後になるかもしれないし」




―――――…………妾は認めぬぞ。



「うん?」



―――――今のお主を。妾が愛したのは、殺す前のお主じゃ。




「うん。そうだね。君なら、そう言うかもしれないね」



―――――それにな、妾は後悔などしておらぬ。









「……うん。やっぱり君は強いね。…………いや、単に俺がそう思いたいだけなのかもしれない。己の罪を、恥を、少しででも軽くしたいから、君がそう言ってくれるんじゃないかって想像していたいのかも、しれないな」











「やはりここに居ましたか」


「おや、よく分かったね」


「そりゃ分かりますよ。あなたなら入る前にここへ来ると思ってましたから」


「ふふ。相変わらず鋭いね」


「当たり前です。一体何十年あなたの尻拭いをしていると思っているんですか」


「うん。いつもありがとう」


「……真顔で礼を言わないで下さいよ。こちらが照れるじゃないですか」


「そうなの?俺は本当にそう思ってるんだけどな」


「……もう、いいですから」


「それにしてもずいぶん立派だね、これ。建ててくれるとは思ってたけど、こんなに立派だとは思わなかったな」


「そうですね。多分、いえ、確実に彼らが何とかしてくれたのでしょう」


「そうだね。ぼくを慕ってくれた彼らが、ね」


「……そろそろ、行きましょう。いつまでもここに居ると、気づかれます」


「わかった。行こうか」


「……それじゃあ、ね」



―――――許さぬからな。



「え?」



―――――こちらへ来ることなど、許さぬ。こちらへ来たいと思うことも、許さぬ。妾は決して許さぬ。




「……本当に君という人は……、いや、そうだね。約束しよう」




―――――約束など要らぬ。妾は許さぬ、これだけ覚えておけ。



「……はい」


「どうしました?」


「ああ、ごめん。今行くよ」










(君はよく分かってる。君と交わした約束を守ったことなんて、ないのだから)




(了)

いつまでもアルファベットというのも、小話を書く上で支障がありますので、彼女たちの名前を決めてみました。



候補生たち ミニ(ラフ)




Aタイプ → アリシア(Alisia)

デフォルト名。名前変換可。一応メインヒロイン。

農民の家系。初等教育しか受けていないが、生活の知恵は誰よりもあり、たくましい。


Bタイプ → イオ(Io)

軍人の家系。正式には中等教育しか受けてはいないが、家庭で高等教育も学んだりしていた。スポーツ万能。


Cタイプ → ディオティマ(Diotima)

貴族の家系。しっかりと高等教育まで受ける。典型的インドアタイプなため、運動が苦手。



**


一応、ギリシャ人名から考えて決めました。

ディオティマなんて完璧私の好みなんですけど(苦笑)。


賢者同様、彼女たちの会話もその内公開予定です。

プラトン + ヘロドトス


賢者たちの日常3 スチル(ラフ)


ヘロドトス

「失礼しますよ、プラトン。本日分の書簡、持って来ました」


プラトン

「早いな、ヘロドトス。今日も貴公が一番だ」


ヘロドトス

「雑務は手早く済ませるのが私の主義なんです。まったく、”賢者”なんて名前だけは格好良いですけど、こういった仕事が増えるのは困りものですね」


プラトン

「確かに、研究に費やす時間が減るのは難点だな。だが、肩書きが増す分こういう仕事も増えるのはしかたがないだろう」


ヘロドトス

「ある程度ならあの方々たちに回しても良いと思いますけどね。我が師が早々に賢者を辞して、悠々自適な生活をすごしているのを見てますと、恨めしいやら、羨ましいやらです」


プラトン

「今の発言の意図は何だ、ヘロドトス。貴公は賢者という称号をそんな風に見ているのか?」


ヘロドトス

「嫌ですね、プラトン。今のはほんの愚痴ですよ。そんな真剣に受け取らないでください」


プラトン

「……もう少し違う言い方があるだろう(溜息)」


ヘロドロス

「あなたも」


プラトン

「何?」


ヘロドトス

「もう少し頭を柔らかーくして受けとめて欲しいものです(笑顔)」


プラトン

「…………」


ヘロドトス

「ね?(笑顔)


プラトン

「……善処する」


ヘロドトス

「ええ。ぜひお願いしますね」



(おしまい)





**



出ていない二人を出してみました。

この二人の絡みがあんまりイメージできず……、あまり係わり合いを持たなそうな二人ですので。

ヘロドトス氏はいつもにこにこ穏やかーな感じですけど、誰であっても言いたい事は言う(笑)。

それに対応しきれていないプラトン氏なのでした。



で。

今回も。



**




おまけ。(その後)




ヘロドトス

「もうこんな時間ですか。そろそろおいとましますね、プラトン」


プラトン

「分かった。ああ、ヘロドトス」


ヘロドロス

「はい、何でしょう?」


プラトン

「この書簡、アリスティッポスに届けてくれないか?」


ヘロドトス

嫌ですよ(笑顔)」


プラトン

「……何?」


ヘロドトス

「嫌です。だって私はあなたの世話人でもありませんし、弟子でもありません。そんな使いっ走りのようなことをするのはごめんです」


プラトン

「いや……すまない。そんなつもりで頼んだわけではないんだ」


ヘロドトス

「すみません、私も少し意地の悪い言い方をしてしまいましたね。あなたとアリスティッポスの仲を知らないわけではないのに」


プラトン

「では、持って行ってくれるのか?」


ヘロドトス

いいえ


プラトン

「…………」


ヘロドトス

「いけませんよ、プラトン。嫌な事を他人に押し付けては。見た所、その書簡は重要な内容みたいですので、人任せにせずにきちんとご自分で届けてくださいね?」


プラトン

「……あ、ああ。分かった……」


ヘロドトス

「ふふっ、良いお返事です」



(おしまい)



**



ヘロドトス氏の笑顔な直球攻撃に見事に完敗のプラトン氏でした。

(あれ?師弟そろって何だかヘタレキャラに……??)

リュシス(Lysis)

「お初にお目にかかります。僕は哲人王候補様たちをお世話させていただくリュシスと申します。何でもお申しつけ下さいね」

リュシス(顔ラフ)



・哲人王候補の世話人(召使みたいなもの。身の回りの世話をしてくれる)。


・以前はソクラテスの世話人だったが、彼がいなくなってからはプラトンのお世話人になっていた。候補生たちと年齢も近く気安いだろうという理由で、今回候補生の世話人に抜擢される。


・孤児だった所をソクラテスに拾われて、アカデメイアで世話人となる。


・明るく元気。


・暇を見てソクラテスは彼に読み書きを教えていたため、そこそこ読解はできる。


・黒目黒髪。


・ゲーム上ではシステムや人物などの説明係担当にする予定(笑)。



**



【リュシス(生没年不詳)】

プラトンの対話篇『リュシス』の登場人物のひとり。物語の中では、アイクソクネ区の富豪デモクラテス家の長子で、おとなしい美少年として描かれている。


アリストテレス+アリスティッポス


賢者たちの日常2 スチル(ラフ)



アリスティッポス:

「おや、いらっしゃいアリストテレス。まさか君の方から僕の研究室(へや)に訪ねてくるなんて、珍しいこともあるものだね」


アリストテレス

(できれば来たくなんてなかったさ!……けど、あのお方の頼みだし……)

「……これ、師匠からの書簡だ。今日中にサインしとけってよ。そんじゃな」



(歩き出す音)



アリスティッポス:

「つれないねぇ、そんな足早に去らなくてもいいじゃないか。同じアリス同士仲良くしようよ」


アリストテレス

結構だ」


アリスティッポス:

「フフ、残念だな。それと……その乱暴な言葉使いも何とかならないものかねぇ。僕は君よりも年長者だし、それに僕は君の師匠だよ?」


アリストテレス

誰が、誰の、師匠だっ!!(怒)


アリスティッポス:

「僕が君の、さ。だってそうだろう?君の師、プラトンは僕と兄弟弟子だもの。君にとっての僕は師と同じってことになるんじゃないのかな?」


アリストテレス

「んなことっ!!」

(ねぇよ…・…いや……そうなのか??確かに師匠とこいつは同門だけど……)



(しばし考え込むアリストテレス)



アリスティッポス:

(ほんの冗談のつもりだったのに、真剣に考え込んでるねぇ。フフッ、君は本当にプラトンの弟子だよ)



(おしまい)





**



いじられるアリストテレスくんでした。これがプラトンだったら大変な事態になってたかもしれませんが、弟子の彼はそこまでアリスティッポスを知りませんので、こんなオチ。


あと。



**



おまけ。(その後)




アリスティッポス:

「そうだ、アリストテレス。丁度良い機会だ。ちょっと歌っておかないかい?僕が伴奏してあげよう」


アリストテレス

「っ!!……あんた、分かってて言ってるだろっ!!」


アリスティッポス:

「フフ……何のことだい?」


アリストテレス

「俺がっ…………俺が音痴だってことをだよっ!!


アリスティッポス:

「ああ、そういえば聞いたことがあるねぇ。万能の神(ゼウス)に愛される天才児は音楽の神(ミューズ)の神には愛されていないようだ、と」


アリストテレス

「悪かったな!俺は音楽だけは苦手なんだよっ!!」


アリスティッポス:

「フフッ、そう毛嫌いしなくてもいい。君の声質自体はとても良いんだ。後は音階通りに声を出せばいいだけだよ。ね、簡単だろう?」


アリストテレス

「…………簡単じゃねーよ」


(おしまい)



**



イメージ的にアリストテレスは音痴っぽそーです。自覚しているあたりにまだ救いがあるかと。