表に立つことはない部署であるが、その業務は多岐にわたる。

 まず、大きな事は学校行事の年間予定を設定すること。おそらくどの学校にも存在する行事を大まかな時系列順で並べると、入学式・校外学習(遠足)・体育祭・修学旅行・文化祭・芸術鑑賞・卒業式がある。それに年5回の定期考査、それ以上の回数がある模試、各教科で行われる各種検定。学校ごとに異なるが、このほかにも新入生オリエンテーションや球技大会、勉強合宿、合唱コンクールなどがある。もちろんこれらの行事には修学旅行や芸術鑑賞など学内の予定だけで決定できないものも含まれる。

 それらの日程があらかた決まると見えてくるのが「年間でどの曜日が多いか少ないか」である。たとえば、大型連休、芸術鑑賞、体育祭、校外学習などにより「この年はやたらと水曜日が抜けるぞ」というものである。

 教務部は年間の時間割を設定する部署である。よって、年間通じて水曜日が少なくなることが分かっているのに、そこに「美術」の授業を入れてしまうと、「あれ、一学期は美術を2回しかしていない」ということが起こりえる。そうならないために、教務部は必死で時間割を組む。このように言ってしまうと、一つの時間割を作ればいいだけのように思えてしまうが、各学年各クラス分必要であるため、各学年8クラス編成の場合、24通りの時間割が必要であり、さらにはコース別のカリキュラムもあるため、合同授業や選択授業もそれに加わる。かつ、6年一貫型の私立の場合は、ここに中学校の時間割がさらに複数パターン加わる。

 それだけのことを「担当者がかぶらないよう」にして、新入生人数が決定する2月末~3月上旬に完成させなければならない。もちろん通常業務と平行しての作業である。

 時間割を組んでいった結果、「どうしてもこの2時間だけ無理だ」という事態に陥ったとき、学校は「急募」という形で、その教科の非常勤講師を募集することがある。2月頃に突然採用通知が発表されるのはそのためである部分が多い。(それでも決まらない年度もある)

 年間の時間割を決定するだけではなく、定期考査の時間割を決めるのもこの部署である。比較的採点に時間がかかる教科を初日や二日目に設定したり…という気を利かせながらの作業なのであろう。

 また、「発熱で…」「子どもが急に…」という理由で欠勤する教職員もいる。別にそれは悪いことではない。ただ、教務部員は出勤するとすぐに欠勤の連絡を受け、時間割変更が可能かどうか、無理な場合は自習となるが、その自習課題は教科が準備できるのかどうか。自習監督はどの教職員が担当かのうなのか。という確認作業をするのもこの部署である。

 このように書いていると教務部はまるで日程調整役でしかないように見えてくるが、そうではない。重要な役割として「成績管理」があげられる。この場合の成績とは「学内での考査成績はもちろん出欠席を含むもの」であり、簡単に言えば、「模試以外」の成績にまつわるありとあらゆることを管理しているのである。(模試は進路指導部が担う)

 さて、定期考査の成績が重要なのはわかるが、なぜ出欠席まで丁寧に管理しなければならないのだろうか。それについては話が長くなるのでまたの機会にする。