翌朝お父さんの、顔は変わらず、
お昼過ぎに葬儀屋さんがこられて、お父さんを
お棺にうつし、会館へ運んでいく。
ちょうど今年中国で買ったDVDにあったおくりびとの
世界である。
その繊細で、美しい、儀式的な、神々しい
流れに見とれながら、
みんなでお父さんを囲み、沈黙の中でそれらの
流れるような行いを見ていた。
その後、男手で持ち上げた棺おけがおもかったこと。
お父さんが会館に運ばれて私と、aiaiも一緒に向かった。
お父さんが78年間生きたこの下町。。
会館の前を通り過ぎていく通行人のうちの
何人かが、その時点でお父さんの、訃報を知り
駆けつけてくれた人も何人かいた。。
夜の17時を過ぎた頃から、ぽつぽつと人が集まり
はじめた。
私の実家から、私の両親と弟2人とそして翔世がやってくる。
お父さんがなくなる、前日に、帰国したaiaiと翔世であったが、
aiaiは身重なため、aiai一人でお父さんのお見舞いに
行き、翔世はいけなかった。
翌週に改めて連れて行こうと思っていたのだが
まさかこんな急にとは思っていなかった。
お父さんにとって、初孫の翔世。。
最後に会えなくて残念だった。。
その翔世が、御通夜に向かっている。私も1週間ぶりに会えるのだ。
18時に翔世と私の両親、弟達が到着。
すぐに到着した翔世を抱きかかえ、
お父さんとご対面。
お棺を覗き込みながら、
翔『じいじい、ねんねしてるね~』
私『しょーせー、じいじいはねんねしてるんじゃないの
死んじゃったの。もう会えないの。空の高い高い
天国にいっちゃたの。分かる』
私『ぱぱも、ママ、ばあちゃんもみんな泣いてるでしょ。
わかる。じいじいはしんじゃったの。』
分かった、分かってないか。それでも
翔世にお父さんの死を分かって欲しかった。
翔世にとって初めて参加するお葬式であった。
しっかり生きて、しっかり死んでいったお父さん。
その死を伝えること。
死生観というものを伝えたかった。
死ぬと言うことは、どう生きると言うことと
つながるんだよって。。伝えたかった。
後になって聞いて話だが、
私の父が、翔世にじいじいはねんねしてるんだよ
っていったら、
翔世が、『ちがう。じいじいは死んだんだ』
といっていたそうで、翔世なりに何か感じるものが
あったのだろうと。
私とaiaiと喪主であるお母さんは一番前の列にすわり
翔世は後ろのほうで、私の母親と座っている。
お通夜には、たくさんの人が訪れてくれた。
昨日立ち飲みやで飲んだ、お父さんの仲間達
も皆きてくれた。
御通夜が終わり、座敷にあがって、用意した
お酒やお寿司、おつまみを召し上がってもらうために
できるだけ多くの人に上にあがってもらった。
ここでもいつもの仲間達が遅くまで付き合ってくれた。
たくさんの人たちに囲まれて、父は幸せですと
aiaiが言っていた。
皆が帰り、私と、aiaiとお母さんと親戚の人数名が
会館に泊まった。
お通夜では線香を消してはならない。
線香から上に昇っていく白い線のような煙が
天国につながり、それを頼りに人は
のぼっていくのだとか。。
会館の従業員の人たちも帰り、
後は身内だけとなり、みんな寝る準備をして
お父さんの周りに集まってきた。
夜もふけていく中、みんなでがやがやと
お父さんを囲みながら。。。お父さんとの
最後の夜である。
つづく。。
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