ちょっと本日はかなり難しいネタで
中国での売掛金回収にかかわる注意点と問題
発生時の対応法という、ジェトロ主催の無料セミナーに参加してきたので
それが大変参考になったので、ここでその一部を
紹介してみようと思う。
ちなみに講師は
北京市大地法律事務所日本部代表弁護士
熊琳さんという、やり手の中国人弁護士で
とても知的で、美しい女性の方でした。
北京市大地法律事務所
住所:北京市朝陽区建国路89号華貿中心15号楼505室
電話:01065307711
私は、一度売掛金回収で裁判を起こしたことが
あったので、今回のセミナーは、すごく理解することが
できた。
セミナーの内容を簡単にまとめると。。。。
→は私の感想や、また項目の具体的内容
①業界の特徴と自社製品の強みに対する認識
→私の会社がかかわる業界はスーパーに対する回収です。比較的
わかりやすい業界で、対応しやすいと認識している。
今のところ大きな回収もれはないが、今後のスーパー業界の過渡期での大型
倒産には気をつけなければならない。
②自社債権回収体制の構築
→これが実は一番重要で、意外に回収業務は体制構築はおざなりに
なりがち。
原因としては、まだはじまったばかりの会社が多い中で
やはり回収体制よりまず、売ってなんぼの、売り上げ重視。売り上げが
なければ回収もできないので。外資はまだ中国での日が浅いのでどうしても
先に営業体制の構築が必要。いい感じになったころに、ふと気づいたら
回収体制に手がまわっていなかったってことがよくある。
まだ中国では外資は比較的日が浅い。よってなによりもまず営業体制を
確立したいところ。どうしても管理部門が手薄になってしまうのは自然の
摂理だ。軽視しているわけではないが、後回しになってしまう。
私としては、社内で自動でアラームが鳴るような体制がいいと思う。
トップが何百とある回収先に気を配り続けるのは難しい。だったら財務部門
や回収部門と連携して、このくらい遅れたら自動的に、商品なり配送なりを
ストップする体制を築く。または警告書なども自動で発送されるようにしておく。
その際に、すべて自動だと重要な取引先などとの関係が悪くなり、取り返しが
つかなくなったりすので、そこで最後の商品停止や警告書発送寸前にトップの
ところに、最終決断がまわってくるようにする。これを徹底すれば、大方は
大丈夫だと考える。
③徹底した与信調査
→これがなかなか、難しい。自社での調査、また第三者調査の依頼など。
今回はいい情報をもらえました。自社で行うことできる与信調査で
インターネットを活用したもので。。。。100%調査できるわけではないが。
政府民間機関:
工商行政管理局-企業信用ネット
最高人民法院:
執行対象先調査システム
http://zhixing.court.gov.cn/search/
あくまで信用調査は自分の足で確かめるのがよいので
頼りすぎにも注意して。。
また中国での債権取立て屋(商帳追収師)は国より発行されている
職業訓練証書の一種ではあるが、これは正式な職業資格書ではない。
『債権回収会社の開設禁止に関する通知』の規定があり債権取立て屋
の社会的なステータスについては、いまだにグレーゾーンであるとのこと。
④綿密な契約書の作成
→保証条件、違約条件、決済条件、争議解決方式など。この部分については
実際には中国語でずらっとかかれており、日本人は見る気もうせてきます。
でも最初の数回をしっかり、しっかり確認すればだんだんとパターンがわかってくる
のが、契約書。同じ業種で業界の契約書を毎回目を通していればポイントは
おさえることができるので。ちなみに私は毎回スーパーとの契約書を確認しておりますが
基本的にこの業界は、スーパー側がめちゃ強いので、無茶な項目や条件があっても
結局は書き換えることなどできませんし、弱い立場であるメーカーが全部飲まなければ
ならないのが現状。
実際はこちら側が相手にとって必要な取引先であるかどうかが重要。いくらでも代わりの
業者がいるのであれば、相手はいつでも約束を反故にします。いやならやめれば!!
という態度できます。そのときに自社に、それなりの付加価値。他の競合とは違う強みが
必要になってきます。
⑤適切な決済方法の採用
→貿易保険や第三者保証の取り付け、前受け金、手付金、銀行引き受け手形、国内信用状
の優先利用など。
ちなみにスーパー業界では、契約書にサイトが30日、45日と書かれていても、実際には
月末で閉め、そこから納品量を確定するまでに1週間から10日かかり、そこから起算して
30日間とかするところが多く、ほとんどは契約書に書かれているサイトの日にちからさらに
1週間から10日間はかかる。
またさいほどの納品量を確定する日にちというのも、毎月何日とかって決まっていて
その日に計算しにこなかったら、翌月に回される。またその計算日が大型連休と
重なっていたりしても翌月に回されたりする。とにかくスーパー側主導である。
またひどいところは(郊外地区や、河北省など国営が多い地域では)、納品量のうち
実際に販売されたものだけしか支払わないところや、棚不足をメーカーに負担させ
勝手にひいているところもある。天津はもうほとんどそういうチェーンはみかけないが。
⑥債権が焦げ付く前の対応
→参考になった話で、不良債権となる前の兆候として
-債務者の生産活動の停滞
-代金支払いの突然停止
-債務者製品の大量クレーム、返品の発生
-社名変更を含む、度重なる企業再編
-重要連絡者の大量退職
-経営陣の不祥事
-これまでみられなかった銀行員の出入り
-主要幹部の連日不在、電話も受けない
代金決済の遅延!これが一番おおきな兆候である。
以上の項目が説明されたが、これは大変参考になった。
⑦債権が焦げ付いたときの対応
→示談と証拠の収集、公証の役割、財産保全と証拠保全、訴訟事項などがあり
なかでも公証の役割は参考になった。
合意書など強制執行の効力のないものを、役場にもっていき公証させることで
効力を発揮することもある。
また中国は日本のような内容証明などがないので、EMSで催促通知を送ることで
相手が受け取ったという証拠が残るので、これを利用するしかない。
またメールなどのやりとりも、公証することで証拠能力が高まる。
⑧債権の回収
→債権の回収には、法的手段を用いずにする方法、または用いてする方法が
あるが、ここでは割愛するが大変参考になった。
今回はなんのおちもない、まじめなビジネスネタブログでしたが、セミナーに参加でき
なかった人への補習みたいな感じでアップしておきました。
それから最後に、ジェトロ北京センターからの調査レポート作成のお知らせがありました。
『中国における経営管理機構』のご案内
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/reports/05001674
これもまたご参考になればということで
いつもブログをごらんいただき
ありがとうございます。
どうか応援のクリックをぽっちと
お願いします。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。
明日から北京ですが、がんばって更新
してまいります。
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