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前回、村上春樹さんの小説『ノルウェイの森』(1987年)を記事にした折に触れた通り、この連休で大阪の実家に戻った折、忘れず東京に持ち帰り、昨夜再読、一気に読み終えました。
う~ん、やっぱり私は『ノルウェイの森』より、この『青が散る』の方が共感出来るなぁ。でも、『青が散る』の書評等に「テニスというスポーツを初めて文学作品にした」とかいったコメントが目につくけど、テニスが“舞台装置”というかアイテムのひとつにはなっていても、それほど重要な要素になっているとは思えないのは、私だけ?

ともかく、様々な面―特に恋愛―で不器用な主人公・燎平は、『ノルウェイの森』の主人公の「僕」より身近に感じる存在。私にも夏子に似た存在に思える女性が学生時代にいただけに、余計に燎平の心境が理解出来る気が昭和60(1985)年文庫化された初読の当時したし、今回の再読時も変わりませんでした。
やたら多くの登場人物が突然去る『ノルウェイの森』のそれが、小説をよりドラマチックに「演出」するためのテクニックの部分が強いように思えてしまうのに比べ、『青が散る』の安斎には、強い存在意義・必要性を感じます。いや、安斎だけじゃない、この2作品を比較すると、登場人物一人ひとり、そしてその互いの距離感・交差、そして遠ざかっていく過程、そういったもの全てが、私は『青が散る』に大いに共感し、感動し、切なさを覚えるのです。
比べることに意味はないのかも知れない、でも私は、どうしてもこのふたつの小説を比較し考えてしまいます。