核拡散防止条約(NPT)再検討会議が27日、米ニューヨークで開幕する。中東情勢は混迷を深め、核軍縮に逆行する動きが世界各国で相次ぐ中、高市早苗政権は国光文乃外務副大臣を派遣すると発表した。NPTの意義や核政策について、前回会議に現職首相として初めて出席した岸田文雄元首相に聞いた。(東京支社取材班) 【写真】開成高硬式野球部で汗を流した岸田氏(友人提供)  -今回のNPT再検討会議をどう位置付けるか。  「ロシアのウクライナ侵攻は今も続く。中東情勢や中国、北朝鮮の動きを見ると、状況はかなり厳しい」  「NPTは核保有国と非保有国が参加する唯一の普遍的な枠組み。機能させるために日本は汗をかく必要がある。加盟国が核軍縮に努力しようとコミット(関与)するのを確認することが、最も重要な目標だろう」

 

-核開発を主な理由に米国などがイランを攻撃した。イラン内ではNPT批判がやまず、脱退論もある。  「NPTが核保有国に課した核軍縮の義務を果たしていないと非保有国が不信を募らせ、溝が生じている。イランにもこの不信感が根底にある。イランも加盟国である以上、(核開発について)国際社会に説明するべきだと、日本は言い続けるしかない」

 

前回会議には現職首相として初めて参加した。  「首脳級がほとんど参加しない中、日本の総理大臣がどーんと来て発信する意味は大きいと思った」  -前回会議から4年、核軍縮の機運は後退した。中ロだけでなくフランスも核弾頭増強を掲げる。  「安全保障環境が厳しくなり、核保有国にも核軍縮に逆行する動きが見られる。大事なのはロードマップを示すこと。前回会議で提唱した行動指針『ヒロシマ・アクション・プラン』も核兵器の透明性向上など5本柱で、現実から理想への道筋を描いた」  「今月、マクロン仏大統領と会談した。厳しい現実からでも理想へのロードマップを示すことが政治家に求められていると伝え、同意してくれた」  -核兵器を包括的に禁止する核兵器禁止条約では、日本政府は被爆者らが求めるオブザーバー参加をしていない。  「ポイントは核保有国を動かせるかどうか。条約は核保有国が不参加で、日本がオブザーバー参加することで核保有国が動かなくなれば元も子もない。一方で、核兵器のない世界を目指す出口として条約は重要。理想に近づくため、現実的に一歩一歩汗をかく。それが日本の取るべき道だ」  -高市政権下では「非核三原則」の見直しが取り沙汰されている。与党には核共有や原子力潜水艦の保有を求める声もある。  「首相在任中、非核三原則は堅持すると再三繰り返した。国是として堅持されてきたものを今、変える必要はない。核共有は考えたこともない。原子力潜水艦は膨大な費用がかかり、必要性の問題もある。慎重に考えるべき課題だ」

核拡散防止条約(NPT)とは

 米ロ英仏中に核兵器保有を認め核軍縮の義務を課し、それ以外の国に核兵器の製造や取得などを禁じる条約。1970年に発効し、世界191カ国・地域(2025年1月時点)が加盟。運用状況を検証する閣僚級の再検討会議は原則5年ごとに開催する。15年は中東の非核化を巡り意見が対立し、22年もウクライナに侵攻するロシアの反対で最終文書を採択できず、2回連続不採択になった。

西日本新聞

 

非核三原則を守れと言うなら米国の拡大抑止力を日本は放棄をすべきだ。さらに、NATOの核保有をしていないドイツ、イタリア、ベルギー、トルコは米国と核共有をしている、そう考えると日本も米国との核共有をすべきである。核の脅威や恫喝に対抗をできるのは核しかないというのが常識である。

 

ケネス・ウォルツの核戦略に関する主張は、おおまかに次のように整理できます。(kokubunken.or.jp)核兵器は破壊力が桁違いに大きく、指導者に「戦争は割に合わない」という強い自制を生む。互いに相手を壊滅できるだけの核を持つと、「相互確証破壊」により大国同士の全面戦争は起こりにくくなる。そのため、冷戦期の米ソのような「核抑止」が働く構造は、通常戦力だけの世界よりもむしろ安定しうる