フランス政府は二〇二〇年までに、タバコ一箱を今までより四割高い約一〇ユーロ(約三〇〇円)に段階的に値上げすることにした。税収増と若年層の喫煙率抑制が狙い。

 前にも私はたばこ課税の思い切った引き上げを要請していた。

 かつては私自身が一日一〇〇本以上タバコをふかし、現在その肺に与えた害に悩んでいるだけに、あらゆる手段を盡してタバコの消費抑制に努力すべきだと思っている。

 大蔵省で予算を扱っていて、人と相対で折衝することが多く、ついついタバコを手から放すことのなかった私は、予算の最後の詰めの段階で深酒、タバコの飲み過ぎと睡眠不足などが原因で帰宅途中のタクシー内で倒れ、救急車で入院させられた。医師の説教を容れて即日タバコを止めることにした。以来一本も吸っていない。

 その年の予算折衝でタバコ一本につき一円の値上げであったが、本当は少なくとも一本二円を引き上げたかったが、三党連立内閣で、保守党の強い反対にあって実現できなかった。

 あのピースの両切りの缶を開けて臭いを吸い込む時のおいしさは忘れられない、酒は百薬の長と言われるのにタバコは健康に害あると言われるだけ。

 葉タバコの生産農民、タバコ小売店の手当は充分にして、思い切って値上げを断行したらよいと重ねて思う。最終目標は無論タバコの禁止であることは言うまでもない。