29・4・8
築地市場の移転の問題はまだ解決していない。
私は、誰の都知事の時だろうと一旦都議会も承認して決定したことなのだから、そのとおりやればいいと思っていたし、今でも、それしかない、と思っている。
昔から、東京の市議会は伏魔殿などとやゆされていた難しいところであるとは、戦前市の議員をしていた私の伯父からも聞かされていた。どういう意味で言われていたことかはよくわからなかったが、当局に対しても力をもっていたことは明らかではないか、と思っていた。
そして、あまり言われていないことだけれど、この市場移転問題をすっきり解決させ難くさせているのは、市場そのものの移転に伴う問題もさることながら、築地市場をとり捲く、多種多様の店舗の身のふり方ではないか、と思っていた。
市場で扱う生鮮食料品は当然だが、これらの食品に関連するまことに多種多様の食料品、物品、料理店などの営業にかかわることであり、又、市場の店の補償は行なわれても、市場外のこれらの店は、いわば勝手に、許可なくして出来上がっているものだけに、移転となっても何等の補償もないどころか、沢山の顧客を失う恐れが多分にあることが、より大きな問題であり、障碍ではないかと、秘かに、私は思っている。これは、当たっていなければ取り消させて貰うが、無関係とはとても言えまいと思っている。
いづれにしても、世界に名だたる市場であるし、そうみっともない結論とならないように、しっかりとした解決となるように、そして一日も早く解決するように関係者一同協力して貰いたいものと思っている。