29・4・16

 ついこの間某大新聞の社長に偶然遭った。たまたま所用でその社の局長に会いに行った時であったが、顔を見るなり、もう新聞はダメだよ。販売部数は何割も減るし、第一広告収入がガタ落ちになって仕舞った。みんなネットやテレビのためで、新聞をとらなくても済むようになっている時代になったからだね。

 普段からズバズバ物を言う人と知っていたから、ウソとは思えなかったし、もうそれまでにも耳に入って来ていることであった。

 新聞だけではない。第一本が読まれなくなった。少なくとも買われなくなった。ネットで読まれる時代になった。雑誌も大へんだろう。私は、今CATVの代取社長をしている。市民の半分は加入しているし、少しづつではあるが加入が増えていたのに、このところ新規加入が少しづつ減って、その上現加入者が少しだが減っているという報告であった。

 さて、さて、今後どうなって行くのであろうか。電話も固定電話は減って、ネットで足りるようになっているという。

 情報革命時代である。私は以前からニュースと野球以外あまりテレビを見ない方であったが、サッカーは球を追って眼が疲れるし、テレビも旅番組や、アチャラカが多くなって、いつ切っても惜しくないような場面が増えて来た。

 これが、世の中の流れであるとすると、なかなか変るまい。

 読む積りで買った本は地下でツンドクとなって出番を俟っているが、なかなか減らない。古本も売れないと聞いているし、この間、某市立図書館に寄附しようと思って尋ねたら、二十五年以上たったら処分する方針だと言う。あきれた、もう他の所へ尋ねてみるのを止めた。週刊誌のようなものもそう要らないと言う。

 ゴタゴタ並べてみたが、これが現世なら、私一人でどうなるものではないから、黙って時の経つのを俟っている感じである。

 ただ、お蔭で読みたいな、と思っていた本が一冊一〇〇円の棚に並んでいる。作家も気の毒と思う。

 マ、世の中はそんなものか、と観念し、読みたい本を読んで余世を暮すか、と達観したくなる。それもいいかな、と思うことにしている。