27・6・18

 五木寛之の八部作の一つである。ハル、ナツ、アキ、フユとの四季をなぞってつけた名前の四姉妹が登場する。四姉妹と言えば谷崎の細雪を直ぐ思い出すが、四人が生きている世界が異なることを知らしめるような差がある。敢て、良し、悪しはいわない。

 布由子の姉妹は、それぞれ生活の枠が違っているが、その枠の中では自由気儘に暮らしている、ないし暮そうとしている。ことを知らせてくれる。

 男も同じように暮らせるか、と聞かれれば、はい、と言い難い。時に、女は女であることだけで生きて行けるが、男はそうは行かない、というのは本当だと思う。

 敢えて、こんな抽象論をぶって逃げ出すようだが、言わんとしているところは簡単である。