27・4・28

 加太こうじの東京案内である。徳川家康の創府以来関東大震災と米軍の大空襲による壌滅的な打撃を受けながら東京は不死鳥のように再生した。

 木造の多かった家並みは鉄筋コンクリートの高層ビルへと変化を遂げながら、不思議と街区は昔のまゝの姿を留めていると言われている。東京の中に三百年の江戸が生きている。

 考えてみれば、私も昭和十二年の高校入学以来切れ目はあっても東京に住み続けて来た。家内の郷里鳥取から衆議院議員の選挙に出て約三十年、週一の割合で東京との間を往復したが、鳥取に帰ってホッとするとともに羽田に着いた時もホッとするのである。

 世界に誇る都としての東京の姿を歴史をまじえて細かく記した本はそうない。いい本だと思いながら、かなり時間をかけて読み通した。