26・4・26

 半村良の銀座ホステス物語である。二十年以上も前に眼について買っていた一冊である。

 この種の本は読みだすとやめられない。たわいもないとも言えるが、やはり気楽に読めて面白いのである。別に、カラマーゾフの兄弟を併行して読んでいるが、この方は遲々として進まない。

 夏も近ずく八十八夜に思い立ってサラリーウーマンの生活に決別して夜の蝶の世界に飛び込んだ、すばらしい美貌の女性が店をもつことを目指して精進するという、そこだけを見れば、涙ぐましい努力の軌跡である。

 たかが銀座、されど銀座。夜の世界の一人の女性の心理の変化を克明に綴ってあるので、勉強になった。