26.1.26
民間航空会社のパイロット不足を補う目的で、自衛隊パイロットの転職を促す制度(割愛制度)を政府が今春にも再開する方針を固めた。
退職前の自衛隊パイロットの転進を促す割愛制度は昭和三十七年に始められたが、民主党政権となって平成二十年に省庁による国家公務員の再就職あっせんを禁止する方針を打ち出した。
一般に公務員の天下りはいろいろ弊害があって良くないものとされていた。しかし、肉体的にも精神的にも昔とは比べものにならないくらい健全の人間を定年で辞めさせるのも、少子化時代問題となっていたが、航空機の発達で、より多くのパイロットを必要とされているなら、国防上必要な人員を削りこんでまで民間に人材を供出することはないが、そこそこ余裕があるなら、どんどん供給したらよいのではないか、と考えている。
私は、大体いわゆる天下り禁止乃至制限には大いに疑問を持っている。
官との間に変な癒着を生じ、正しい行政が曲げられ(例えば物品の購入、工事の発注等に)公正な入札に依らずして、随意契約で処理する、といったようなことになってはいけないが、単価が安くなるような工夫を前提とすれば、随意契約で処理をしても差し支えないように思う。
私は、官と民との間の人事交流をもっと認めてよいと思っている。民間の知識、経験、考え方などを官が取り入れることも大事であり、反対に事務に習熟した官僚を民間が採用して働かせることも何ら差し支えないではないか、と思っている。
問題は、それらの人的交流の際に不正、不公正が行われないか、ということだけである。それは多少官の内情が民間に知れるというようなマイナスも考えられるが、プラスの方のことが多いのではないかと考えている。
もしそれ折角、国が金をかけて養成した人材をむざむざ民間に供給するのはもったいないではないか、という考え方もありうる。
かつて、防衛大学校や自治医大卒業生などが卒業しても官途につかないことが問題となったが、あれ程の恩恵を与えて養成した人材については、例えば義務就職年数の勤務を完了しない場合は、その年数に応じて、国庫に助成金を返還させることを厳重に履行させる、ことも定めたらいい。
これを言うと、私立学校よりも国が金を出している国立学校の卒業生などは、どうか、ということにも考えられるが、そこまで言い出したら切りがない、と言うべきか。
ともあれ、自衛隊のパイロットはどしどし転職を促したらいい。自衛隊のパイロットが不足して来たら、定員を増やしたらいい、何でもないことだ。