25・6・11

 近頃、新聞紙上でも小選挙区制はいろいろ問題が多い、やはり、中選挙区制に戻すべきではないか、という主張を見るようになった。

 平成5年頃、自民党の長く続く政権熊勢を変えて、二大政党による政権交替が望ましいとし、それを実現するためには小選挙区制にすべきだという主張が国会内外において強くなった。

 小選挙区比例代表制、今の制度の実現を推進する連中は、そうではない議員を守旧派と呼び、果は離党する人が、朝に1人、夕べに1人と続出し、自民党の体制維持も難しいか、と思われる情勢であった。

 当時、野党であった河野自民党総裁とともに選挙対策の責任者として総務局長をしていた私は、衆議院で可決、参議院で否決となった法案を両議院協議会でどう取り扱うか、事務的な手続きを含めて検討していた。両議院会の実質的運営は前例に乏しく、決っていないことがいろいろあった。

 ともあれ、河野総裁の結論は小選挙区制止むなし、というものであった。

 後年、紙上等で見る河野氏の結論は、あれは大失敗であった、というのであった。私も同感である。

 ただ、当時、あの決断をしたことは止むをえなかったことだと思っている。多数党である自民党が少数党の社会党の村山首相を担いで、まことに異例な首班指名に臨み、村山内閣を実現させたのも、一つの決断で、これを止むをえぬ対処方針であった。

 あとから考えてみれば、あゝでもない、こうでもないと言えるが、たら、れば、をいくら言ってみても、昔を今になすよしもない。現実の世の流れというものは、そういうものと、思い諦める必要があるのではないか。