25・6・17
東京の医大教授が、若くして亡くなった親友の未亡人と結婚し、連れの男の子を実子のように可愛がっていたが、学生運動内ゲバの対象となる。鉄パイプで打ち殺したのは京都の扇製造の老舗の長男。その姉が年が離れ、祇園で遊びほうけた末に亡くなった夫のあとを社長として会社を切り盛りする。その姉が警察に追われている弟の代わりに謝りに行った通夜の席が縁で妻ある教授と結ばれるようになる。
舞台は京都になる。その辺は京の四条のおいしい料理をまじえての楽しい日々である。
妻がある人と初めて女として結ばれた彼女は、燃え上る恋心の裏で、軈て来らざるをえないと覚悟する別離の時を忘れられない。
といったような上巻である。
やはり、こういうものを書かせたら渡辺淳一はうまい。下巻はまだだか、多分目出たし目出たしとはならないと思う。それでいい。