25.6.7

この間、ある新聞に地方交付税不交付団体を減らすべきだという主張が地方団体からなされていることを知った。反対である。

ここでは数字について議論をするつもりはないが、そもそも全国一律の税制のもとにおいては、当然のこと税収の大きい大都市を中心とする地方団体といわば田園地帯の地方団体との間には、産業立地の関係もあり、税収に差がついてくることは必至である。この間の落差を埋め、いわば国による補償的な措置として必要限度の行政需要を満たす税収を確保する措置として地方交付税制度が設けられた。

従って、地方交付税の配分は、各般の行政需要に応じて算定された基準財政需要額と主として税収による基準財政収入額との差額をメドとして行なわれることになっている。交付税は地方団体固有の財源と考えられているので、その使途に何等の制限をつけてはならないことになっている。

経済社会の発展、少子化現象の進展などによって全国的に一極集中の傾向は顕著となっている。首都機能移転を始め、一極集中を緩和しようという様々な施策が試みられて来たが成功はしていない。全国的にみれば、東京、横浜、大阪、神戸、名古屋などを中心とする大都市圏がますます人口も産業も集中し、又、各ブロックにおいては、札幌、仙台、広島、福岡などの地方大都市への人口、機能の集中が著しい。北海道の三分の一は札幌市である。

毎年のように税制改正が議論されて来たが、どんな税制を考えても、増収になるのは大都市圏であって、税収の不公平を増加させることになる。

基準財政収入額が基準財政需要額を上回る団体、つまり普通交付税不交付団体が増加し、交付団体が減ることは、決して好ましい制度改正にはならない。

地方交付税について、かつて逆調整交付税金制度を作るという議論が行われたが、これは地方交付税不交付団体、いわゆる富裕団体から税収の一部を国に納付して貰い、それを交付団体に交付税として追加配分するという考え方であったが、大都市側からの圧力で議論にならなかった。

何事も地方自治優先の考え方が強くなっている時に、逆調整交付金の制度は到底実現困難と思われるが、一案として検討に値すると思っている。

そこまでは無理であるにしても、そもそも不交付団体を減らす税制改正を考えるべきだと思うし、ましてはこれを増加させようとする試みは、富裕団体である地方大都市のエゴであり、国全体としての財政のムダを促進させることにはならないか。深く反省を求めたい。