25.5.31

東京都の特別区は税収の多いところ、少ないところの差があるのは当然であるが、ある程度同じような行政水準を維持することが必要なので、以前から財政調整制度が設けられていた。

基準財政需要額が基準財政収入額を上回る特別区には都から交付金を交付していた。交付金には普通交付金と特別交付金とがあった。

逆に基準財政収入額が基準財政需要額を上回る団体は交付金の不交付団体としていた。

以前は不交付団体から収入の一部を徴収し、交付金財源に追加、充当していた。

私は、昭和三十年当時、主計局で地方財政担当の主計官をしていて、東京都のこの制度は、なかなか立派なものなので、国もそれに倣って、交付税不交付団体(いわば、富裕団体)から、税収の一部を国に納入させ、交付税交付金に追加し、配分することにしたらどうか、と提案したことがある。

相手は後に自治庁次官をなった小林与三次氏であった。氏は私の鼻の先に手を振って、とんでもないことである。都内部でもなかなか問題があるのにそのような自治団体間での財政調整はとても無理だという内容であった。

都のこの制度もいつの間にかなくなったようであるが、今でも充分考えに値する措置であると考えているが、如何。