25・3・24

 前から題名は知っている黒沢明の作品である、戦後ヤミ市の栄えていた頃のやくざの世界を描いている。テーマとしては珍らしくはないが、赤ひげ医者のような志村喬の医者、若いが胸を痛み喀をする三船敏郎のやくざなど黒沢の手にかかって本当にそれらしい生き生きとした演技である。佳作。きれいだが生ちょろい二枚目がちゃらちゃらするようなハリウッド映画より、よっぽど心を打つ作品であった。黒沢のものが外国の映画祭で賞を貰うわけがわかったような気がする。