24・11・6

 三大学の新設を審議会が可として答申したのに田中大臣が不認可としたことで一騒動となった。

 審議会が可としたものを大臣が不認可としたこと自体を非難する声があるが、それはおかしいと思う。大臣に認可権がある以上法的には差支えない。審議会が可と言えば自動的に認可をしなければならない、となっては、大臣の認可権は全く名目的なもとなってしまうではないか。

 又、田中大臣が大学の新設にストップをかけた理由も不当ではない。確かに今大学は余っていると言える。入学者が定員を割っている私立大学が四割も占めるという現状をどう見るか。既に認可をして存在しているものについても文科省は当然検討を加えて差支えないと思う。ましてや少子化現象の進行によって今後ますます入学志望者が減ることも当然考えられるから、ここで大学、学部、学科の新設の方針について腰を落ちつけて再検討することは妥当とも言える。

 さはさりながら、1年有余もかけて申請大学は諸々の準備をし、校舎も決り、教員も約束している状態であり、文科省当局の指示にも従い、手落ちのないように進めて来たのに、いきなりアウトと言われたのでは、徒らに混乱するばかりではないか、というのもよくわかる。

 田中大臣の言っていることは間違いだとは思わない、が、それを言うのはもっと前の段階ならいいが、ここまで来てはどう考えても世間の納得もえがたい。

 であるから、ここは、田中大臣も、そうは言ったが、考え直して、既に既定の手続きで肅々と進んできた三大学の新設は認可する。しかし、来年以降については、新しい観点で大学、学部、学科の新設の認可方針について根本的に再検討を加える、ということになってここは収めたらいい、と思う。

 不認可を決めなかった、というような言い訳染みた弁解はみっともないから止めた方がよい。

 もっとも、従来、先に校舎も建てよ、先生の陣客も具体的に決めよ、云々。それでなければ認可をしない、というのもおかしな話である。もし認可をしなければ一体どうなるのか。

 事務当局の指導で既成事実をどしどし積み上げさせて、認可へ持って行くという従来のやり方は、私は、前から疑問をもっていた。

 計画の段階で充分慎重に審査をし、良いとなったらゴーサインを出して本格的な設立等の準備にかかる、というのが、本当のやり方ではないだろうか。

 かつて、ゴルフ場の新設について、許可が出ると会員権の募集が出来、金を集めてドロンを決め込むような不逞の輩があちこちにあっために、法律改正をして、相当程度ゴルフ場建設の実が見えなければ、新設の認可をしないように決めたが、それとこれとは違うではないか、と思う。