24.7.16

福島第一原発の事故以来、脱原発の動きが加速し、再生可能エネルギーによる発電の急速な拡張が叫ばれている。

太陽光、風力、地熱などのエネルギー源に併せて、例えば、農業用水の小水力発電などが地産地消の一つのタイプとして採り上げられようとしている。

原発の事故による被害が甚大であることを考えれば、脱原発の方向もあながち一概に反対をすることは難しいと思う。

しかし、再生可能エネルギーによる発電については、既に昭和三十年代にも散々検討が行われた。その結果、日本にとって原子力発電が最もコストも安く、将来拡充すべきものと決した。その時の議論や計算根拠は、今になっても決して否定すべきものではない、と思っている。

再生可能エネルギーによる発電コストは、多大の設備投資の償却などを考えた場合、果してどのようになるのか、今迄大規模の設備について充分検討されただろうか。疑問を持たざるをえない。

常識的に考えても原発に較べて、一つ一つは問題にならないくらいの小規模発電の効率が良いとは信じられない、現に電力会社に買い取りさせる余剰電力の価格は一キロワット時当り四二円となっている。それによる発電原価の増加は結局消費者の負担となるように定められている。

原発事故の大きさを無視するわけではないが、飛行機の事故がいろいろあったからと言って航空輸送の廃止には到らなかったことを想起し、二度とこのような事故を起らないように十二分の対策を講じることは当然として、再生可能エネルギーによる発電については、もっともっと真剣に計数的に検討しなければなるまい。

ちなみに、農業用水による小水力発電については、嘗て昭和三十年代、補助金を交付して奨励したことがあったが、その後沙汰止みとなったことを思い出した。