現在は「国史跡に指定されている埼玉(さきたま)古墳郡」にあった丸墓山につづく忍城の城主成田長親はのぼう様と呼ばれていた。でくのぼうの略でそれに申訳に様を付けたに過ぎない。図抜けて背が高く、ただ大きい彼は何をやらせても全くダメな男だが、不思議に人を引き付けるところがあった。

 秀吉の小田原城攻めの際に三成の水攻めに会いながら、最后まで落ちなかったのが忍城であった。

 そののぼう様をとり捲く物語りで、私は、人から薦贈られたので、読み始めたが、それこそ妙に引きつけるところがあって、一気に読んだ、和田竜のデビュー作で、第29回城戸賞を受賞したという。