23・10・23

 リビアの最高指導者カダフィ大佐がこの20日彼の最後の抵抗拠点シルトで死亡し、約42年に亘り続いた彼の独裁政権が崩壊した。今年の2月の大規模デモ発生以来続いたリビアでのアラブの春は終幕を迎えた。

 豊かな石油資源に支えられた長期独裁政権はエジプトのムバラク政権に続き独裁に反抗して立ち上った民衆運動の前に逐に破壊せざるをえなかった。NATOの空爆による強力な支援を受けたとはいえ、改めて独裁によって抑圧されてきた民衆の反揆力の強さを改めて認議させられた。

 ただ、その後のリビアの民主的政治情勢の確立については幾多の困難が予想されている。独裁政権に代わる独裁政権の発生はありえないとしても、政府機構や憲法策定などがどのように進むかは、およそ民主主義的な政治訓練を受けていない、そして数多の部族が乱立している国だけに問題となるものと見られている。

 カダフィ大佐の実質後継者とみなされていたサイフ・アル・イスラム・カダフィに、面議のある者として関心を持っているが、この上はリビアの民主政権の速やかな発足を願うばかりである。