23・7・29

 730日に改元されて明治45年は大正元年になった。丁度今年が百年目に当る、大正の名称の縁で岐阜県明智町に置かれた財団法人大正村(市町村合併で明知町は恵那市の一部となる)で改元百年記念の事業が行われることになって、数年前から準備が行われて来た。

 大正村は各所から明治時代の建物を移設して作った明治村などと違って大正時代のそのままの風景を色濃く遺している街並みを中心とした地区に設置されたものである。

 大正村が設置されたのは昭和59年であり、初代の村長は女優高峰三枝子であった。彼女が平成2年病没した後暫らく空席であったが、女優司葉子が村民に推された二代目村長に就任した。

 基盤となる明智町が御他聞に残れず人口が減少している中にあって、街並みを維持することには色々の抵抗やら障碍があつたが、兎も角村民の協力を得て大正村が存続して今日を迎えることになったのは慶賀すべきことである。

 大正時代は言うまでもなく明治と昭和という長い時代の間に挟まれた僮か15年の期間であったが、大正デモクラシィと大正ロマンに象徴される豊かな特色をもつた時代であり、又その間に発足した幾多の企業が今日にまで存続し、日本の産業の重要な礎石となっていることに注目すべきである。

 この大正時代の意義を後世に傳え、昔を顧りみ、今を知ることの大切さを認識して貰うために大正村を温かく守り育てて貰いたいと思っている。