米国など9ヶ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の第五回参加国会合が近くチリのサンティアゴで開かれる。交渉は急ピッチで進んでおり、今会合からは主要テーマである関係分野をめぐる交渉が本格化する見通しである。TPP参加の是非を剣断していない日本は会合に出席できず、といって交渉が早く進めば、後から加わる国は不利なルールを押しつけられかねない、との危機感が強まっているという(212日・毎日・朝)。

日本は従来二国間の経済連繫協定(FTA)の締結を進めて来ているが、現に行なわれようとしているTPPは、それを凌ぐスピードで進められている。日本は特に農業に関して関税率の引下げや撤廃について強い抵抗があって、ウルグアイ・ラウンドの際も自由化に反対せざるをえなかった。

しかし、今後、日本国全体としての対応を考えなければ、貿易自由化の大勢に出遅れ、経済的に不利を招くことは明らかなので、ここは一つ思いきった農業対策を検討、早急に実現に移す方向で対策しなければならないのではないか。

私は、昭和30年代の今頃、大蔵省主計局で農林担当の主計官を異例の四年間も務めたので、農業政策の難しさを良く心得ているつもりであるが、従来の政策の効果について反省の上に立って、農地の大規模化や若者の新規参入、戸別補償制度の充実、農家と消費者との間の農作物の流通、農作物の輸出など幾多の問題点のついて早急に検討の上結論を出さなければならない。

今の政権与党民主党はこの問題をどうしていいかわからないようにも見えるが、それではダメで、政権を担う資格はない。

TPP加入は農業を含む日本の産業の在り方について、辛いがいずれ実施しなければならない政策を推進するいい機会となるものであるから、思いきって加入の決断をすべきではないか。

それでなければ、第3の開国など単なるお題目に終わって了うことは明らかである。菅首相如何にかんがえられるか。23.2.12