一月二十三日の日経新聞(朝)のコラムにクラレの和久井会長がこの見出しで意見を書いておられた(インタビュー領空侵犯)

 私もかねてから常用漢字(その前身はGHQに命令されて決めた当用漢字)の現定(?)を苦々しく思っていた。常用漢字は制定以来何度も見直しが行われ、その都度削除、追加が行われて来たが、私がみてもかならずしも納得の行くものではない。当然入ってしかるべきものが認められなかったり、どうかと思う削除も行われてきた。

 活字を拾う時代ではないのだから、難しい字でもパソコンに入るし、読めようもない字にはルビをふればよい。昔は総ルビだったから小学生でも新聞は読めた。意味がよくわからなくても字が読めるというのはいいことで、読書百ペん意義自ら通ず、という格言もそのとおりだと思う。ましてや、ルビがないと、人名、地名なども読めなかったり、間違って読んだりする。四月一日をワタヌキなどと読むのは、理由を尋ねてみなければわからない。暖かくなったら着物の綿を抜くからである。もっとも中国人の場合は人名の漢字を日本式で読むのに韓国人の場合は韓国での呼び方通りにカナで書くというのは、どうしてかはよくわからない。いずれにしても、漢字は実に優れた文化の所産であって、徒らに制限しない方がいいと思う。

 私は、ボウエイショウを防衛省と書かないで、わざと防衞省と書いたりする。衛は衛生の衛であって、ボウエイのエイは衞でなければおかしい。帀(はた)をまもるから衞なのではないか。23・2・16