私は、前々からペイオフについて反対であると言っていた。その理由は、いわゆる住専問題以降、金融機関の破綻の際の預金の払戻しを1千万円に限る必要性は極めて乏しいと思われることと若し1件でも実施したとすれば、金融機関の預金に対する国民一般の信頼を失わせることになり、その影響は極めて大きいと思わざるをえないからである。第一ペイオフの制度の発足時、その内容を理解しない多くの人々が今にも預金の払戻しが1千万円に限定されると思い込んで、1千万円以上の預金の引出し、他行への預け入れに狂奔したことを思い出さずにいられない。選挙区で何人もの人から相談を受けた。私の説明で一応は安堵したようなものの、なお一抹の疑念を残しているような顔色であった。多くの預金者に無用の心配を与えたことはペイオフの制度の最大の欠点である。預金保険機構の最近の経理状況を調べてみたいと思っているが、保険料率の引下げも可能なのではないか。
日本振興銀行はその先立ちからして一般の金融機関とは異質の面をもっていた。本来預保の対象となるような金融機関ではなかったという批判もある。しかし、事が起きた以上、こうするよりも仕方がなかったのではないか、という見方もあるが、どうだろうか。
22・9・22