かなり前の国会議員の選挙から出口調査なるものが行われるようになった。最近は全国紙も地方紙も実施するところが多くなって来た。その出口調査とは、投票所の出口付近に待ち構えている記者が投票を終った人にどの党にとか、誰にとか、投票した候補者の名前を尋ねるのである。答えない人もいるが、投票が終ったという気持ちからか、答える人も多い。全投票所で実施するとは思わないが、主な投票所で実施すれば、各候補者の得票の、細かいところまではわからないにしても、少なくともおよその割合を察知することができる。

 ただ、候補者別の生の割合から推測するのでは必ずしも妥当ではない、というのは、投票者の心理として、どうしても現政権政党以外の候補者の名前は何となく答え難かったり、その地域で支持する人の多い候補者以外の候補者の名前を挙げるのもはばかる、といった心理状況があるから、その分を補正しなければならないが、さて、そのやり方も簡単ではない。

 午後八時投票締切りと同時に当選者の名前が陸続として発表されるのは、事前の調査に加えてこの出口調査の結果が大きくものを言っていると思うが、一つの問題は投票日当日の午前中の投票状況が午後には何となく洩れて、それが午後の投票に影響を与えないか、その上、この頃は期日前投票をする人の割合が高くなり、その人達に対する出口調査まで行なわれ、それが洩れるという事態になって来ている。

 期日前投票が、今後も問題になるかと思われるのは、その割合がどんどん増えていることであって、極端なことを想像すれば、今に半分近くの人が期日前に投票することになり、全国一斉投票を根幹としている現行制度が実態的に壊れやしないか、という危懼もある。

 といって、投票率が上るのを悪いということにもならず、今直ぐどうなるという訳にもならないが、今後、少なくとも検討を要する制度ではないか、と思う。