用務で釧路に出張したので、足を伸ばして初めて知床に来た。羅臼の海辺に森繁久彌の像が立ち、「知床旅情」の歌の第一節の歌碑も並んでいる。

 彼の作詞作曲になるこの歌の作られたのは「地の涯に生きるもの」という題名の映画のロケ地のこの町であった。

 家内葉子も出演し、一ヶ月も滞在したという羅臼はかねてから一度来てみたかった。

 終日小雨が降り続き、ガスがかっていたので、歌の文句にあるように遥かな国後島も全く見えなかったが、満足であった。

 一夜にしてこの歌を作ったという森繁氏は同じ大正の生れで私のかつての後援会女性部の陽光会の会歌も作ってくれた。作曲は池辺晋一郎である。一寸古めかしく難しい詞はあったが格調の高い歌である。

 九十六才の彼、このところお会いしていないが、御健勝を祈る。

(2009.6.11)