公共投資はムダのように言われるが、景気対策として米国でも公共投資の拡大を進めている。

 私は、日本で公共投資はまだまだ必要だと考えている。中国、韓国、東南アジア諸国に比べても充分だとは思っていない。しかし、ムダな公共事業もある。国で施行してる分についてもあるが、とくに地方自治体の施行している分にムダが多い。

 かつて、私は、各種の公共投資を統一的な観点から調査企画、配分実施できるようにするため、国土総合開発庁の設置を田中総理に提案したが、総理の剛腕をもってしても各省庁の抵抗を排除しえず、至って無力な国土庁の誕生となってしまったのは、今考えてもまことに残念でならない。そこで、難しいことは重々承知だが、やはり政府は総合的な見地から各般の公共投資を公平妥当な見地から調査、研究しつつ、最終的に判断し、実行しうる機関を作るべきだと思う。

 会計検査院の存在があって、公共投資の適性も検査している筈であるが、ここは何と言っても予算の適切な執行の検査が重点目的であって、その予算自体の適不適について充分物が言えるような状態ではない。

 公共投資は時に失業対策的見地から必要とされることがあるにしても、本来は失業対策ではないから、飽くまでもムダがないように重点的・効率的に実施さるべきものである。