息子への手紙  from
チェスターフィールド

【 侮り辱しめたらダメ 】

どんな人であっても、
ちょっとした侮辱でも、
それを感じて不快に思い、
君に敵対感情を抱くのだ。

目に見えない怒りだろうと、
憤るだけのプライドくらい、
どんな温厚な人であっても
持っていると覚悟しなさい。

だから、君だけは、賢くあれ。
生涯の敵を作りたくなければ、
実に注意深く行動することだ。

いくら相手が、本当の意味で
無知で無思慮、俗悪で愚物で
誰からも嫌悪されるような、
侮辱されるに値する人だと、

君の目に見えていたとしても、
勝手に決め付けてはいけない。
君が判断して侮辱してはダメだ。

馬鹿だ愚かだ憎らしい存在だと、
君の目に見え、思えたとしても、
それを表に出してはいけない。
君が侮辱することは許されない。


【 ほんのささいな言葉でも 】

言葉には充分に気を付けたまえ。

若い連中にはよくあることだが、
人は、優越感を示したいがために、
もしくは周りの人を喜ばせたくて、
誰かの弱みや短所を暴露するような、
ありえない愚かなことをするものだ。

これだけは、絶対にやっちゃダメだ。

そんなことをやりたいような誘惑が、
君の所にもやって来ることだろうな。
耳元で、そっと優しくささやくのだ。
「バカにしたっていいじゃないの」と。

そのような声には、断固として、
君は打ち勝たなければならない。
「ダメだ」とはっきり言うんだ。

もし、「ダメだ!!」と言わずに、
「そうね。バカにしたっていいかも」
などと甘い考えで、軽はずみな言葉を
口にしてしまえば取り返しはつかない。

周りの観客の皆さんを、その時は、
笑わせることができることだろう。
確かにその時だけ、その場だけは。
しかしそれでは、一発屋の芸人だ。


【 敵を作っちゃダメ 】

ほんの束の間の脚光を浴びていても、
長続きなどは決してするわけがない。
ほんのささいなお笑いを得ることで、
君は生涯の敵を作ることになるのだ。

これはたとえではなく、事実である。
君の人生で、最良の友さえ、失なう。
たかがささいな言葉でも、凶器だ。
その場では、君と一緒に笑いあった
仲間でさえも、君のことが嫌になる。

君は、人を見て馬鹿にする人間だと、
周りの観客の皆さんに思われるのだ。

人から嫌われる人生になるわけだ。
結局は、たとえ君が誰かに好かれる
として、馬鹿にする人からの好意だ。
君は、人を馬鹿にする連中ばかりと
交友関係を結ぶ人生となる事だろう。

それが、ほんのささいな言葉の結果、
君自身が手に入れた成果なのだから。


【 喜びの笑顔こそ賢明の証し 】

まずはそもそも、何よりも、一番に
君に感じて欲しいのは、そういう、
「人を平気で馬鹿にする発言」が、
人間としてどれほど恥ずかしいか、
社会人としてわきまえてもらいたい。

なんという下品な振る舞いだろうと。

心優しい人間であれば、他人の弱さや
欠点があれば、それをかばおうとする。
少なくとも、公言したりはしないのだ。

機知というものが、もし君にあれば、
人を不快にさせるような発言はやめて、
人を愉快にさせる言い方を覚えるんだ。

不愉快を招くお笑いの芸風ではなく、
笑顔を引き寄せる笑いを求めてみよう。

(=´∀`)人(´∀`=)