ぽた、ぽた

ほのかにしょっぱい自分の涙が、床に落ちるのを視界がとらえる。

もうなにも感じたくない。どこにも居たくない。

お母さんは困ったという表情で、私を横目に通り過ぎてお皿を洗いにシンクに立つ。

妹はソファに仰向けになって、気だるげな表情でゲーム機のボタンを打つ。


かちゃかちゃ

かちかち


周りの音に耳をすまして 雰囲気を噛み締めて 自分の気持ちをじっと見つめて 私は、どんどん真っ黒くなる

じんじんと悲しみの影を醸し出して。私を見て、私のこの面倒な気持ちを見抜いてよ、って、みんなの方へ私の影を伸ばす

でもそれはきっと正しい方法ではないのね

言葉に成りそこなったような、ストレスのかたまりを口から無理やりだして、周りの人は眉をしかめて耳を塞ぐだけ。対話がしたいのに、自分の願いを繰り返し口に出すので精一杯。馬鹿みたいって自分でも思うけれど、下手くそなおしゃべりは止まらないし、その場から動けなくなっちゃう。動いたら死んでしまうって錯覚しているのかというくらい、でも、動けないままもしんどくて、もう、存在したくなくなる。