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いよいよ、出発の日。
おじいさんは和歌山県出身で、和歌山県の名産品である吉備団子を作り桃太郎におやつとして持たせてあげることにしました。
p.s.その材料は実は小箱に入っていたもので、丁寧に作り方のメモまで入っている始末。箱の中は特別な真空パックとなっていて、消費期限はおろか、虫食いやカビ、酸化を気にする必要がありませんでした。
日本にはとある言い伝えがあります。鬼に挑む時は鬼門と裏鬼門を気にする必要があるというもの。江戸時代での方角は干支で方角を定めており、鬼門は現代の北東、昔で言う丑寅の方角でした。裏鬼門は真逆の南西、昔で言う、申酉の方角であればいいという言い伝えです。
近所に羊を飼っている家は無かったので、猿で代用することにしました。
桃太郎は山に入り、猿を仲間にしようとします。ですが、野生の猿は凶暴で、時々畑を荒らしたりします。桃太郎はそっと道端に吉備団子を置いて様子を見ることにしました。
猿がその吉備団子を食べると、様子が一変し、なんと桃太郎になつくようになったのです。
桃太郎は思いました。この不思議な吉備団子ならいけるかもしれない。それと同時にこの吉備団子には麻薬的ななにかがあるかもしれないと思い、こんな怖い食べ物を笑顔でおやつとして与えたおじいさんを怖がりました。
キジや犬も同じように、仲間にすることに成功しました。
さすがに桃太郎は恐怖を覚え、残りの吉備団子はそっと公園のゴミ箱に捨てることとしました。
桃太郎とその3匹の仲間はアジトのあると思われる廃ビルにたどりつきました。
ここまで来るのに、何日もかかりました。なぜなら動物を連れて公共交通機関には乗れない。おじいさんやおばあさんは長距離運転に慣れておらず、近所のコメリやスーパーマーケットくらいにしか行かないので運転の自信がないんだそう。未成年に保護者の同意がないまま外泊するのは全47都道府県の青少年健全育成条例
(全都道府県にあるため、事実上法律のようなもの)で禁止されており、夜中(22:00~4:00)の徘徊は補導の対象となります。
おじいさんやおばあさんに助けを求める距離でもなく、このことをSNSに書くとおそらく両親ともバッシングされ、この作戦は失敗してしまいます。本当にインポッシブルなミッションなのです。警察やご近所さんにバレないように野宿するのに桃太郎に右に出るものはいません!
あくまで桃太郎はアジトの一味を退治し、後日警察にバレないようそっと情報を提供し、捕まえてもらうという立ち位置になります。
見張りが薄い時間帯を狙い突入します。
扉を開け、一部まだ寝てる仲間もいるようなので、起こさないよう慎重に中を進んでいきます。
その直後、後ろから銃を突きつけられます。
「おい、なにをしている。」
桃太郎は肘で銃を払い、絞め技でダウンさせます。
桃太郎は次々と中にいる人を投げ飛ばし、盗んだものを返すことを促します。お供もそれに続いて攻撃をします。野生の動物たちのパワーは凄まじく、一気に一味を倒してしまいます。
グループのリーダーは、金庫からしぶしぶ盗んだブランド品や金品をキャリーケースにつめ、桃太郎に渡します。
「勘弁してください!警察だけはっっっ!!」
桃太郎はキャリーケースを持ち出してとりかえした盗品を村や街の人に返そうとしますが、もしそうしてしまうと、桃太郎がアジトに突入し、あれやこれやしたことが明るみになってしまいます。
帰路につこうとしたちょうどその頃、吉備団子の効力が切れたのかお供の3人は帰っていってしまいました。完全にONIのグループ全員を制圧した桃太郎は、親分状態となってしまいました。このことだけは隠すようグループのみんなに強く口止めをし、帰っていきます。帰りは普通に公共交通機関に乗って帰って来れるので、貰ったお小遣いからバスや電車を乗り継ぎ帰っていきました。
地元警察には、そっとONIに関わるてがかりっぽいものだけを提供し、あとは警察に任せることにします。キャリーケースを置いてきてしまうとおそらく盗品は帰ってこないだろうとのことで仕方なく持って帰ってきました。
グループの1件やキャリーケースのことをおじいさんやおばあさんに話すと、ではそっと返しておこうという事で、桃太郎が盗まれたものを道端に隠してあるのを見つけたという設定とし、そのことを地区の公民館の役員に話し、集会を開いてもらい盗品の分配を行いました。
桃太郎は第1発見者としてニュース番組で少し話題になった程度で、その話のブームは過ぎ去っていくのでした。
こうして窃盗団グループONIは全員あっけなく逮捕となり、おじいさんおばあさんと桃太郎は幸せに暮らすのでした。めでたしめでたし。




