先日、ライティング講座で

小さいわたしに会いに行った記録を

書きましたおねがい



小さいわたしに会いにいくといっても

どうやって?



そう、わたしはヒプノセラピーを使って

会いに行ったのです。




しばしお付き合いくださいませ。


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物心ついたときには
わたしは「おねえちゃん」だった。



1歳のお誕生日を迎えてすぐに
「おとうと」が生まれた。



彼は天真爛漫で叱られても
すぐに何事もなかったように
おどけてみせたり
人を笑わせることができる。
そして何より人に甘えることのできる
完璧な「おとうと」だった。


わたしはといえば
人を笑わせるどころか
笑われると恥ずかしくて
泣きたくなった。



叱られた時には悲しさが
いちばんにやってきて
言いたいことは山ほどあるのに
何ひとつ言葉にできない。
かわりに涙がポロポロと流れた。



それでいて納得のいかない
「ごめんなさい」は
絶対に言わない。
甘えることなんて到底できない 
生真面目で気難しい
そんな「おねえちゃん」。



役割が人をつくるとよく言うけれど
「おねえちゃん!」
そう呼ばれるたびに
わたしはおとうとを守る
しっかり者の
「おねえちゃん」に
なっていった。


しかし時折、母はわたしを
「すうちゃん」と呼んだ。

母はいつも忙しく働いていたから
そう呼ぶのは母に余裕のある
お休みの日に決まっていた。

その甘くてうっとりとするような
特別な響きはわたしをただの
「すうちゃん」に戻してくれた。

そう、小さなわたしは
「すうちゃん」だったのだ!