大雨

前が霞んでよく見えない。
このバケツを返したような雨のせいではない。


私は今、実家に帰っている妻に会いに行き離婚の意志を告げられたその帰り道なのだ。



本気で死んでも構わないと、大雨の中を泣きながら車を飛ばした。

視界は悪くほとんど何も見えない。
水たまりに何度もハンドルをとられそうになった。



本気で死にたいと思えば怖くないもんだなと、いたく冷静な自分がいる。

そんな冷静な自分に嫌気がさしてまた自暴自棄になる。




初めて大きな声を出して泣いた。
泣きすぎてえずいたのも初めてだ。

もう訳もわからなくなっていたが、ただひたすら涙は流れた。




ただ運命は残酷なもんで、願わずとも無事に家についてしまう。